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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2001/12/18(火) NO.241号 

それにしてもお粗末な日本政府の体勢

 昨晩着いて出迎えてくれた方々から聞いた最初の話は「今日、米国とトルコが大使館を再開した」とのことだった。CNN ニュースでも連絡事務所に星条旗が掲げられる式典が放映されていた。つまり、米国は政府もマスコミもカブールに入っているのだ。
 日本政府は、と言えば、12月の初旬に中近東2課長さんがカブールに入り、連絡事務所を仮契約して帰ったが、それ以来アフガニスタン広しといえども、日本の外務省の職員は一人も駐在していない。その際課長さんの宿泊場所の確保も、先行してカブール入りしていた日本のNGO がお手伝いしている。
 一月には東京で復興会議を小泉首相がホストする予定で、首相も早くから復興に力を注ぎたい、と表明していたはずだが、いかにもお粗末な体勢だ。22日に暫定統治機構の発足式典があり、それにあせて人を派遣する、あるいは日本政府がまだ新体制を正式承認していない、といった形式基準や、イード中で飛行機便がとれないことなどをその理由にするのだろうが、大事なのは実質だ。
 いろいろな方々から「日本はどうしているのか?」と聞かれるのは必至なので、朝、外務省の官房長に電話をして今後の予定を尋ねてみるが、正確にはわからず、現局の審議官から電話が折り返しあった。開口一番「うちの体勢のことでしょうか?」との言葉にびっくり。この期に及んで外務省を指して「うち」はないはずで、国家としての日本の体勢がどうあるべきかが大事なのではないでしょうか、と申し上げた。ましてや小泉首相が力を入れて復興会議をホストしようという時にスローすぎないか。少なくとも日本のマスコミがほとんどすべて、カブールに記者などをとっくに送り込んでいるのに、日本政府職員が誰もカブールにいない、などということは許されないだろう。
 これはまずい、と思い首相官邸の安部副長官と話す。案の定、副長官も外務省職員はもとより政府職員が誰もいないという実態を知らず、外務省からは日本が米国などと新政権の承認手続きが異なるので、それに時間がかかること聞いていただけだった。「承認」と人を送り込んで現地の生の最新情報を本国に送らせ、的確な判断と将来貢献への備えをすることとは別物で、22日の式典に副大臣を送って済ます形式論は余り重要ではないはずだ。やはりわが国が世界とどう関わるか、という外交政策の司令塔がしっかりしていることが、決定的に大切なことを再認識した。