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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2001/09/27(木) NO.226号 

北朝鮮コメ支援モニタリングにつき外交部会で報告

 去る18日から22日にかけて行なった北朝鮮での日本からの支援米配給状況モニタリング並びに農業事情視察について、今朝8時半から自民党外交部会で報告を行なった。
 昨年10月に私が外交部会長だった時に決定された50万トンのコメ支援だったが、様々な議論があり、私自身もう少し「外交論」としての詰めが欲しいな、と思いながらも様々な条件のもとで決定された。そうしたいきさつもあって昨年の決定時に私の心の整理としては「少なくとも支援米が本当に困っている人々にきちんと配給され役立っている事を、支援を決めた政治家の一人として責任を持って確認しなければ」と心に決め、かたがた決定時の自民党政策審議会や総務会での要請もあって、昨年から外務省には「必ずモニタリングに行きたい」と伝え、今回それが実現したものだ。
 自民党から私の他、滝実代議士、外務省から佐藤審事官ほか2名、合計5名で参加。現地では、日本の支援米供出先である世界食糧計画(World Food Program、以下WFP)が車と案内を提供してくれ、北朝鮮側は、北朝鮮洪水被害対策委員会(FDRC)から常時2、3人が通訳も兼ね同伴した。
 まず到着直後のミーティングで、先方が用意していたモニター先地域が期待より少なく、またピョンヤン近郊に偏っているため、訪問先の多様化と拡大を依頼、すったもんだの末比較的要求が聞き入れられ、連日ホテルへの帰還は2時間遅れの夜7時ごろとなるほど精力的に見て回った。託児所、保育園、幼稚園、孤児院、小児病院、配給所、さらには老人や産婦のいる配給先家庭も訪問。
 結論的には、先方がアレンジした先に限られた視察ではあるが、少なくとも今回の視察対象においては、日本支援米の配給・使用は所期の目的通り行われている事が、一応確認された。特に、WFPによるモニタリング体制が整備されつつあり、現在唯一の米国人居住者であるWFPの北朝鮮での計画担当責任者の指揮のもと、全国6事務所、50人体制で月に約250回のモニタリングを実施しつつあり、食糧支援への信頼醸成の一翼をになっていた。
 また、本年6月のFAO/WFP報告の通り、今春の大干ばつのため、これから1年間も食糧事情は厳しそうだ。もっとも慢性的な食糧不足の原因は、「80年ぶりの大干ばつなどの天災」は不幸にしてあるにせよ、根本原因は灌漑施設不足による水不足と、電力不足による肥料不足(国内3工場のうち稼動は1工場のみ)という、「天災」だけとは言えないインフラ整備の遅れ。ピョンヤンへ向けて建設中の150キロメートル規模の用水路を見学したが、全て手作業であり、来年の2月には1期工事が完成するとの説明だが、資源配分の見直しを含めた構造改善策の促進が求められるのではないか、との思いを深めて帰ってきた。もちろん、より一層の情報公開と国際機関、NGOなどを含めた人的交流促進がなされることが相互理解と問題解決への早道である事も事実であるし、先方にも繰り返し伝えた。
 外交部会でもいろいろ意見が出たが、今回このような機会を得て、少なくとも北朝鮮の政府や地方政府関係者、地方に住む人々、ピョンヤン市民などがどのような表情で生きているかなど、ごく一部とは言え見る事ができた。今後日朝間で様々な話し合いが行なわれようし、外交的にも北朝鮮を廻り多くの事が起ころうが、その際の判断材料のベースが広がったと思う。
( 9月24日付愛媛新聞の記事が本件についてレポートしてくれています。)