トップ > やすひさの独り言

やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

  • メールマガジン登録・解除
  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー
2002/01/13(日) NO.250号 

正面から本丸を攻めよ

 サンデープロジェクトでの舛添さんとの経済政策バトルトークに出演。彼の主張は(1)小泉総理と速水日銀総裁が揃ってデフレストップ宣言をせよ、(2)日銀は外債を買ってマネー供給と円安誘導をせよ、(3)金融危機に備えてあらゆる手段を用意せよ、の3点だ。デフレに関しては番組でも言ったが、デフレの根本原因を的確に把握することが大事だ。根本原因にはいろいろあるが、そもそも供給過剰、需要不足が続いているのだから、まず供給過剰状態を不良債権処理(供給過剰状態を作っている企業の整理・再生・再編)によって解決しなければデフレは解決できない。「まずデフレ退治をしてから不良債権処理を」は穴のあいたタイヤに空気をいれるようなものだ。先ずは穴をふさぐこと。要は「正面から本丸を攻めよ」だ。また、金融危機はとっくに来ており、手段はすべて整っている。欠けているのは政治決断だけだ。
 円安も、対症療法に過ぎないし、副作用も強過ぎる。そもそも日本は本丸を攻めずに周辺対策だけをやる国、と思われ続けて10年余り経っていることを忘れてはならない。
 番組での発言について一点だけ大事な反省がある。ダイエー問題に関し、言葉足らずで終わってしまったことだ。今日の番組は3コーナーに分かれていて、第1コーナーでダイエー問題が取り上げられ、そこで十分言い尽くせなかったことを第2コーナーで主張しようと思ったら、CMの時間に、ダイエー問題は一応打ち切り、その先に話題を進めることが決まってしまった。それでも頑張って発言すれば良かったのに、と後悔している。
 言い尽くせなかったことは以下の通りだ。
 「目下、ダイエーグループ社員や取引業者は祈るような気持ちで再建計画策定努力を見守っているはずだ。私の地元でも数千万円の敷金を積んでテナントになっている友人が何人かおリ、本件の行方を固唾を飲んでみている事を私はよく理解している。
 先ほど産業再生法と民事再生法の違いの話があったが、いずれも会社を再生することに変わりはない。法的手続きか政策的恩典のある私的手続きかの違いだけだ。ただ、3年前からのゼネコンケースを見ても明らかなように、私的手続きは不透明な中で中途半端に終わりがちで、概して「真の再建」になりにくい。景気が最悪の今、ダイエーほど大きい企業グループについてはできるだけ混乱が少ない方が良いのは明らかで、公的資金を政府が出した米国のクライスラー社の危機に匹敵するだろう。しかし再建は日本経済全体の為にも、そして長い目で見れば社員や取引業者の為にも徹底されねばならない。
 大事なことは「透明なプロセスの下に責任を明らかにし、経済政策的にも有効な再建策をスピーディーに作ること」だ。そこで私の提言は、メインバンク4行を除く準メイン銀行19行ならびに数多くの金融機関の保有するダイエー向け貸出債権はすべてRCC(整理回収機構)に市場価格で売却する。その上で「ダイエー」と「メイン4行+RCC」との間で早急に経済的に意味のある債権計画を透明性をもって策定し、同グループを本業を中心とした格段に効率的かつスリムな流通業として蘇生させ、同業界の供給過剰問題にも答えを出すべきだ。その際産業再生法を活用するのも有効な考えだ。一年越しで私が主張し続け、先の臨時国会で「産業再生」という新たな使命をRCCに与える法改正を我々が議員立法で行なったのは、このようなケースの為にやったとも言える。適切なプロセスによる成功モデルを作ることが今一番大事だ。もちろんぎりぎりの話し合いの結果うまくいかなかった場合には、意を決して法的手続きに移行せざるを得ないことは言うまでもない。
 そして忘れてはならないことは、不良債権処理とは、このように一つ一つの問題を根気よく、地道に司々の人々が確実に、できるだけ素早く解決していくことであり、これまで多くの関係者が問題先送りを続けてきてしまった。民間も、行政も、政治も同様に責任を負っているが、ここまで問題を長期化させてしまった責任は政治が引き受けざるを得ない。