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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2002/05/02(木) NO.279号 

日本を「茹で蛙」にしてはならない

 NYジャパンソサエティとコロンビア大学のヒュ-・パトリック教授が代表を努める日本経済産業センター共催による、「日本の病める銀行システムは回復するか?」と題した半日セッションにおいて、開会基調講演とQ+Aを私が受け持つ。閉会基調講演はオニール財務長官だ。パネルディスカッションは、旧長銀を買ったティム・コリンズや幸福銀行を買ったウィルバー・ロス、政策投資銀行を使った企業再建ファンドを提案したギトリン弁護士など。 
 私は、特別検査結果からも読み取れるように経済情勢が基本的に何も変わらない中、小泉政権が問題先送りをしてしまった事、資本不足の実態、収益構造の脆弱さ、みずほグループのシステム障害への対応からも分かるが、株式持合いを含め根深いコーポレート・ガバナンス上の問題を抱えている事、などをまず指摘。今後の選択肢は、基本に立ち返るしかなく、(1)現状の"muddle through" 方式でこのまま行くのか、(2)韓国方式で政府主導で短期間に大胆な手術をするか、(3)スウェーデン方式で、少し時間をかけながら、しかし機を逸することなく国有化も含めて対処するか、が選択肢ではないか、と提言した。また、日本版SEC創設を含め、資本市場整備が急務である事も強調した。
 オニール長官は、日本が本来の力を出さなかったために失ったものの大きさを改めて指摘し、(1)デフレ対策、(2)不良債権処理、(3)規制緩和、の同時実施を主張。痛みが伴おうとも、早ければ早い方が良く、1日も早く資本や労働資源を有効利用するよう配分し直す事が重要と唱える。マクロ金融政策がデフレ対策として有効に利くようにするためにも不良債権処理の促進が重要だ、との正論を展開。日本が「茹で蛙」になってはいけないとの話はパネルディスカッションでも出たが、最後にだけ来たオニール長官も全く同じことを指摘した。誰が見てもこのままいけば日本が茹で上げられて死んでしまう、と見ているわけだ。このままで良いはずがない