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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2004/07/16(金) NO.353号 

参院選敗北を踏まえ、一層の党改革を

 午後一時より、参院選後初めての「党改革検証・推進委員会」を開く。テーマは二つ。第一は、今回の厳しい参院選の結果を踏まえ、去る6月2日にまとめた党改革に関する中間提言の改革メニューの確実な実行に向け、若手議員中心の「党改革実行タスクフォース」を立ち上げ、メンバーを任命すること。第二は、今回の参院選の総括に関するフリーディスカッション。

 タスクフォースは、テーマ毎に達成期限目標を定め、若手議員に積極的に責任を持って既に出されている改革の方向性に向け細部の詰めを、まずは原則8月末を目途に行ってもらう事となった。9月に党内人事があるが、それを境にこれまでの党改革の流れが止まってしまってはならない。むしろ、さらなる「聖域なき自民党改革」を加速させていくべきだ。そのためにも、8月末までに可能な限り党改革の成果を得ることが重要である。

 参院選の総括に関するフリーディスカッションでは、極めて危機感に満ちた意見、考えの開陳が活発に行われた。改めて7月末の臨時国会開催前後にこの委員会を開催し、今後の道行きに関し議論を深めたいと思う。

 私は事務局長なので発言は控えたが、基本的に自民党政治の今後について強い危機感を覚えている。今、大事なことは、自民党を敗北に追い込んだ全国の有権者が伝えたかったメッセージを正面からきちんと受け止め、そこからの教訓を活かしながら如何に将来の我々への信頼回復に結びつけていくか、だろう。

 大きな曲がり角に直面している現在の日本。その岐路にあって、国民生活や人命に深く関わる諸問題に対し、「政治は絶えず中長期的な将来ビジョンを示しながら、謙虚かつ丁寧に行われなければならない」ということだと思う。高度成長の「富の配分」が主題だった昔の政治と異なり、今後は「痛みの配分」をお願いしなければならない政治的局面も多いはずだ。仮に短期的には100%の理解を得られなくとも、長い目で見た国のあり方を訴えつつ、丁寧な説明を尽くす。これしかない。

 政府の年金法案は「このままでは増え過ぎてしまう現役世代の負担の増加を抑えるために、給付の増加ペースを少し抑え、年金財政の赤字抑制も図る」というもの。確かに制度の根っ子からの改革ではなく、従来に比べ大がかりな見直しながら、本質的には対症療法だった。我々年金問題を真剣に考えてきた自民党国会議員の中でも、政府案を真面目に「100年安心プラン」と考えていた者は殆どいなかったはずだ。確かに民主党は「給付を減らし、負担を増やす政府の年金改革法案はけしからん!」と極めて不正確ながら国民受けする上手な批判をしたが、現在の少子化の中で、賦課方式を前提にする限り「給付を増やし、負担を減らす年金改革」は不可能で、民主党案でも、「消費税」という形で国民負担を求めているのだ。そもそも年金の財源は、「保険料」と「税金」しかなく、少子高齢化の中では負担は全体としては増えざるを得ない。その負担を誰がどのような形で担い、どのように抑制するか、という点で、「税方式か保険料方式か」といった根本的な哲学論争が存在するわけで、そうした社会保障に関する大きな哲学から与野党一緒になって虚心坦懐に議論しましょう、というのが、「3党合意」のはず。「一元化」「税方式」という数ある選択肢の中の一つに初めから限って議論するのではなく、民主党が制度改革に一歩踏み出して提案した案を含め、またこれまで疎かにしてきた子育て支援策や生活保護政策を含め、社会保障全般や周辺政策に関して大いに議論するのが最も大事なことだと思う。当然、増税を含め財源論を避けては通れない。従って、3年かける与野党の議論や、政府レベルで行われる議論では、いくつかの選択肢をできるだけ早く国民の前に出し、そのメリット、デメリットも分かり易く示しながら国民的議論を行うべきだ。

 人生の安心の元である社会保障制度を与野党対決構図のままで議論するのでは、政権交代の度に年金制度などがコロコロ変わり、国民が人生設計を立てられない、という悲惨なことになってしまう。ここは民主主義の形についても懐深く、柔軟になるべきだと思う。