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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2002/09/19(木) NO.292号 

拉致問題に大きな課題。しかし前進を続けるべき

 17日の小泉訪朝は、全く予想外の結果になった。
 何といっても被拉致者のうち生存は4人のみ、8人が死亡、という信じられない痛ましい結果が報告されたことだ。生存していれば殆どが40歳代、横田めぐみさんは38歳のはず。常識では尋常な死亡と理解し難い。ご家族の気持ちは汲んでも汲みきれない。「日朝平壌宣言」において、日本の植民地支配について小泉首相が謝罪をした限りは、金正日委員長も拉致に関する謝罪をすべきであったことは明らかだし、経緯調査、死亡者の本人確認ついても書き込むべきであったと思う。
 9・11の世界貿易センターテロの犠牲者も、DNA鑑定で本人確認をした。拉致被害者についても、死亡までの経緯の徹底調査と本人確認が必要だ。もちろん、生存者についても、真相解明と日本への帰国を実現させねばならない。国交正常化交渉の入り口はこの問題の整理であり、それなくして交渉を進めてはならない。
 もう一つ予想外だったのは、拉致、不審船を自らの仕業であることをあっさり認め、金正日委員長自ら謝罪をし、核問題、ミサイル問題など安全保障問題でも、少なくとも表面的には全面的に降りてきたことだ。余程の変化が政権中枢の考え方に起きているとしか考えられない。丁度一年前、私達が食糧援助モニタリングの為に訪朝したころから水面下で起き始めていた地殻変動が、今回の小泉訪朝まで発展してきたと思うと、感慨深い。米国等も、驚いているに違いないし、今後の戦略の再構築を迫られているはずだ。
 この機をとらえて朝鮮半島の不安定要因の解決に向け前進すべきだ。小泉首相の勇気ある訪朝の結果は、拉致問題での対応は明らかに不十分だったし、今後の進め方次第では全体の行方も不確定だが、その他の長年の困難な懸案事項については、言わば「在庫一掃」のように前向きに動かすことに成功した。この点は十分評価に値する。
 
 それにしても拉致家族の方に「8人の尊い命が失われていながら、拉致に触れもしない宣言をあっさり出してしまったところを見ると『初めに国交回復ありき』ではなかったのか!」と言われても致し方ないほど、宣言文の中で、国交回復後の問題である経済協力に関する部分の記述は詳細だ。拉致問題に比べ、何とアンバランスなことか。「無償資金協力」「低利の長期借款供与」「国際機関を通じた支援」「民間経済活動支援の為の国際協力銀行等による融資、信用供与」を事実上約束してしまっている。ここまで具体的に書かなくとも、抑えた表現で意思伝達はできたはずだ。
 同宣言中に狭い意味での固有名詞が三つだけ出てくる。「小泉純一郎」と「金正日」、それに「国際協力銀行」だ。政府系金融の抜本見直しが年内に予定され、ODAのあり方も年内に我々自民党の「高村委員会」で全面見直しが行なわれるというのに、この厚かましいほどの手回しの良さは如何なものか。政府系金融などの見直しの際、おそらく「日朝平壌宣言で国際協力銀行を使うと書いてありますが・・・」と言って抵抗するのだろう。自作自演だ。そもそも改革開放も行なわれていない北朝鮮のどこに「民間経済活動」があるというのか?国益以前に組織防衛を重んじる官僚にはうんざりさせられる。拉致家族の気持ちになってみるべきだ。
 肥大化を続け、世界銀行よりも融資残高が大きくなっている国際協力銀行の見直しは、今回の宣言に関係なく行なわねばならない。

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