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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2002/08/16(金) NO.288号 

日本にも世界を見据えた安全保障政策を

 サンディエゴで米海兵隊基地を、コロラドスプリングスで北米防空司令部(NORAD)を見学するため、14日に成田を発つ。昨年アフガンにも一緒に行った沖縄の下地幹郎代議士からの誘いで、私が団長を務め、桜田義孝、山口泰明、新藤義孝各代議士、総勢5名で訪米し3日間みっちり視察と説明と議論の強行軍をこなす。
 今回の下地プロジェクト最大の目的は、在日米軍施設面積の75%が沖縄にあり、さらにそのうち75%を占める海兵隊が様々な悲惨な事件の原因となってきた事に対し、沖縄県民へのこの海兵隊による負担を実質的に軽減する為に、訓練を現状以上にフィリピン、グアムなど沖縄以外に移せないか、をかけあう事であった。これは海兵隊のトップであるジョーンズ総司令官との会談で、かなり前向きの発言を引出した。この成果は是非実行してもらいたい。
 
 その他3日間で学んだ結論は3点。まず、(1)価値観は別にして、やはり米国は絶えず世界全体を見ながら、想像を絶するエネルギーとコストを投入し、真剣に即応体制を維持している。そして、(2)日本としても、独自の立場から世界を見据え、現実に見合った安全保障政策を構築しなければならない。更に(3)その為には、これまでいささか現実離れしてきた日本の安全保障政策を変える前提である国民の理解と指示を得る為、我々政治家が努力をしなければならない。
 
 14日はわざわざ沖縄から来た在日海兵隊基地副司令官ラーセン准将らと共に、サンディエゴ市内の海兵隊ミラマー航空基地にて、米国安全保障政策における米海兵隊の位置付けなどのレクを受けた後、海兵隊の使用する航空機の一部を見学。ヘリコプター(CH-53、CH-46E)、ジェット戦闘機(F-18)、輸送機(C-130)を、操縦席や内部を含め見る。驚いた事に、殆どがベトナム戦争時代から使用してきた物でありながら、機体は古いものの部品は新しいなど、メンテナンスは完璧であった。殆どの機体が操縦士よりも歳をとっているとの事。聞けば、維持・修理をするメカニックもその機体に常時乗るため命がけで、真剣にメンテをするという。若い操縦士、メカニック、女性操縦士など、皆エネルギッシュ。
 
 15日は、サンディエゴから車で1時間ほど北上したところにあるペンデルトン基地で終日見学をした後、ワシントンから飛んで来てくれた海兵隊総司令官ジョーンズ大将と会談。
 ここでも攻撃用ヘリコプターなど(UH-1、 AH-1)を見るが、これもベトナム戦争時代からのものだ。手入れは同じく良く行き届いている。
 航空機の実弾訓練場もあるとてつもなく広い敷地を走り、これから沖縄に派遣される部隊の話しを聞くと共に、その部隊の20歳前後の若者達と昼食を並んで取る。大体が高校卒業と同時に入隊し、4年間の務めを果たす。両隣はいずれも勤務3年目。右隣の若者は後1年で新妻の故郷NYで警察官になるそうだ。左隣の青年は、後1年務め、その後3年間、米国の各国大使館警備を経験した後、工学系の大学に進学を希望しているという。海兵隊の奨学金制度などの支援策は極めて充実したものが用意されている。
 水陸両用車に体験乗車。これまたベトナム戦争時代からのものだがしっかり走る。開発中の新型車も見る。従来型のものは8ノットだが、新型車は35ノットと、驚異的な速さだ。
 
 16日、コロラド州コロラドスプリングスへ移動。主目的はシャイアン・マウンテン北米防空司令部(NORAD)の視察。ロッキー山脈の山肌に核攻撃にも耐えられるよう奥深くトンネルと空間を掘り、1958年に完成させた冷戦時代の機密施設だ。カナダと共同で開発したもので、米国4軍、カナダ3軍、それに米国国務省から構成されている。この10月スタート予定の米国本土防衛の為の「北方軍」もここピーターソン空軍基地に本部が置かれる予定だが、その中心指令部にもなる。
 めったに視察が許されない所で、今回許可が降りたので、ワシントンから日本大使館駐在武官(航空自衛隊)1名も同席した。
 要は、米国の上空と宇宙の常時警戒をするもので、指令本部には全米上空の航空機の位置がプロットされた大きなスクリーンや全世界の地図の上を衛星軌道が描かれたスクリーン、プロトタイプながら、イラク国内からスカッドミサイルがサウジへ向け発射され、その落下コースのシミュレーションが示されたスクリーンなど、ITの塊。かつてはソ連からの大陸間弾道弾の飛来を察知するのが最大の目的だったが、今や世界中でのミサイル発射や大型火気使用が全て察知、追跡、評価された上、全世界の米軍や同盟国に9分以内に伝達される仕組みだ。98年のテポドンも衛星から察知され、在日米軍経由で日本に伝達された事は知られているが、その情報はここから発信されていた。
 これまで、大気圏から落ちてくるミサイルは落とせなかったが、目下ミサイル防衛が研究され、実戦配備も2006年ごろに予定されているという。
 
 9・11以降、本土防衛、という概念が米国に新たに加わり、これまで以上に米国上空警備にも力点が置かれるが、何といっても世界を24時間365日見渡し続けている米国の安全保障政策の最前線がここである事には変わりはない。衛星など宇宙開発での遅れはあるにせよ、日本は日本なりの視点から世界を見据え、現実に即した独自の安全保障政策を構築する事が重要だろう。

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