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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2002/05/22(水) NO.282号 

求められる戦略的発想

 20日(月)の午前中に成田を発ち、タイのプーケットへ向かう。第3回クーラム・フォーラム( East Asia Leaders' Dialogue: The Coolum Forum ) への参加で、日本からは舛添参議院議員も参加する。オーストラリアとタイの外務大臣が共同議長を務め、99年、2000年にオーストラリアのリゾート地であるクーラムにおいて開催されたもので、昨年はタイの政権交代でお休みし、改めて第2回会議の際決定していたプーケットで開くものだ。私は初回からの連続参加となる。
 参加者は両外務大臣のほか、インドネシア、マレーシア、カンボディア、ベトナム、シンガポール、フィリピン、韓国、そしてタイ、オーストラリアから、40歳代、50歳代の国会議員、シンクタンクの研究者、官僚、学者など、約20人。全体テーマは「9.11 後のアジア」。
 20日の夕食では、両外務大臣から全体的な問題提起がある。21日は朝から夕方まで議論し、夕食の際にも残った中国問題を大いに議論。昼間は楕円形にソファーを並べ、机もマイクも無しで会議を行なう。リラックスしてお互いが向かい合い、なかなか良い雰囲気だった。経済、政治、安全保障の三つのセッションがあり、それぞれリード・スピーカーの問題提起から議論開始。私は経済で問題提起を行なう。
 全体を通じて一番ショックを受けたのは、台頭著しい中国に対し、多くの参加者が何がしかの脅威を感じつつ、日本に関し、早く経済を立て直して中国に対する「バランサー」としての役割を期待していることだった。それだけ中国の国家戦略に圧倒されている、という事だろう。翻って日本は、今回の亡命未遂事件に見られるように、どこをとっても国家としての全体的な戦略性を感じさせない。いまだに援助対象国である中国を牽制するバランサーになってくれ、と隣国から期待されているというのも、如何なものか。20年前の日本の勢いと中国の状態のままならば、このような役割は考えられない事だったはずだ。
 そもそもクーラム・フォーラムも、オーストラリアのアジア戦略の表れのひとつだ。将来アジアを担うかもしれない人物が集まり、ざっくばらんな議論をし、ネットワーキングの機会を活用する。それも、アメリカ抜きである事が更に意味がある。かつては太平洋の彼方遠くの国であったオーストラリアが、こうしてアジア・太平洋諸国の中心的存在のひとつになっているのだ。日本がこのような機会をアジア諸国に提供しているだろうか?
 
 日本にも国家レベルの戦略的発想が必要だ。