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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2002/11/24(日) NO.303号 

アジアコミュニティーでの一層の努力が必要

22日(金)の夕方7時前の便で成田を発ち、バンコクに深夜到着。自民党を代表して第2回アジア太平洋政党国際会議に参加するためだ。昨年タイのタクシン首相が訪日した際、「マニラでの同会議の初回を受け、私のタイ愛国党が中心になって第2回会議を開催するので、日本も積極参加して欲しい」と小泉首相や河野洋平日・タイ友好議連会長に要請があったものだ。結局自民党からは私一人の参加となった。約30カ国、70の政党が参加し、わが国からは民主党、公明党、共産党、自由連合からも参加していた。
 
 昨日朝9時から、私も馴染みで、今回の会議の実行委員長的存在であるスラキアート・タイ外相の歓迎の辞に続き、タクシン首相が基調演説。さらにカンボジアのフンセン首相、ラナリット殿下、この会議の産みの親で運営委員長を務めるフィリピンのホセ・デ・ヴェネシア下院議長などのスピーチが続く。遅れてパキスタンのブット本首相も到着。
 
 基調演説はもちろんだが、空港に着いてからホテルなどで受ける歓迎振りや昨日夕方の夕食会の演出に至るまで、今回の会議へのタクシン首相の並々ならぬ力の入れ方を、そこここで感じる。来年バンコクで予定されているAPECの総会の予行演習だ、とのことだが、熱が入っている。2年前の会議に比べ、中央アジア各国、オーストラリア、ニュージーランドなど幅広く声を掛けるとともに、ロシアまでを招待している。また、そう長くはなかったが、全体会議の議長をタクシン首相自らが公務で中座するまで執り行った。
 
 昨晩、ヴェネシア議長から「2年後の会議を日本が主催しないか?次回は北東アジア、その後南アジアと回して行きたいが。ほうっておけば韓国か中国が受けるぞ」と言われたが、私からは「当事者能力がない私には今は決められない」としか言えなかった。この会議そのものを受けるかどうかは別にして、今回の会議参加者の中心メンバーが既にお互いが殆ど「友人」「仲間」になり切っているのを見て、日本がアジア太平洋諸国をまとめる役割を果たせるようになるためには、こういった会合を主催するなど、余程努力を重ねていかねばならない事をひしひしと感じた。
 
 努力、といえば、中国の熱心さにも驚いた。夕方中国共産党の中央対外連絡部の若手が近付いて来て「副部長が面会を希望しているので、夕食会のあと時間を作ってくれ」と言ってきた。結局運営委員会で同席したので、委員会終了後その部屋で15分ほど面談したが、もう11時を過ぎだというのに面談後「これからシンガポール代表と会う」と言って、そそくさとお付き2、3人と消えた。この会議をフルに活用し、かなりのネットワーキングをやっているようだ。
 
 今回自民党の中でこの会議への参加問題を議論してもらった際、「このような会議に全部付き合っていてはお金がもたない。君が自費で行って来て」と、軽くあしらわれてしまった。では何かこのような会議を自民党のイニシアティブで開催しているか、といえば何もない。戦略性がないとしか言いようがない。それに比べ、アジア諸国はもっとアジアコミュニティーの中での生き残りを真剣に考え、行動しているように思われた。今回の会議には官僚組織は関与しない、100%政治家だけの会議だ。日本も、やれ「ASEAN+3 」だ「APEC 」だというような官僚組織がお膳立てをする会議だけでは、地域での本当の仲間作りはできまい。最後は人間関係しかない事をもう一回肝に銘じ、「アジアの仲間はずれ」とならないよう、我々政治家が一人一人、意味ある人間関係構築に向け努力しなければならないだろう。
 
 今回、鳩山邦夫代議士に代わり、私がこの会議の運営委員会の日本からのメンバーに推された。シュルツ元国務長官を中心としてペブル・ビーチで毎年開催されていた会議で知り合ったヴェネシア議長や、スラキアート外相、そしてタクシン首相のスポークスマンを務め、今回の会議を実質的に回していたスラナン下院議員などが推薦してくれたようだ。
 
 一方、今回のもうひとつの発見は、タイの政権中枢に入り込んでいる日本人がいることだ。国際協力銀行から出向している方で、4年ほど前からタイ大蔵省に出向した後、現在は Office of the Prime Minister で Adviser to Deputy Prime Minister として活躍中。タクシン政権の「一村一品運動」はこの方の提案に政権が乗ったようだ。特殊法人からこのような形で人材が派遣されている事は知らなかった。1日だけであったが、いろいろタクシン政権の内情、タイの国会議員の中での変化などを教えてもらった。
 
 かねてから私が言っているが、タイでも政治家、官僚の高学歴化が進んでおり、かなりレベルの高い議論が政府・議会レベルで行なわれていると同時に、政治家主導の政策立案が益々行なわれつつあるようだ。新しい国会議員の大半は修士号を持っている。官僚も、例えば大蔵省の政策立案・調整を行なう官房の人材の3割は博士号、残る大半は修士号を持っているそうだ。官僚に高度な知識が必要なのはいうまでもない。政治はもちろん理論だけで成り立っているわけではないが、多極的かつ複雑化する諸問題に関しての総合的分析、理解には、それなりの経験と知識が必要だ。日本では、「あいつは博士号まで持っているから、変わっているぜ」というのがまだ常識だ。わが国では、例えば税制改正論議でも、ある税制改正がどのような経済効果がある、と言った議論は殆どなく、まず税収がどれだけ減るか、そしてどの団体が困るか、という、およそ経済政策とは言えない議論が多い。このような事を続けていたら、人間関係だけでなく、議論のレベルにおいても「アジアの仲間はずれ」になる一方だ。最近、アジアの政治家もお役人も、そうした厳しい目で日本を見ている事を感じるのは、私だけだろうか?

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