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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2003/01/16(木) NO.308号 

「デフレ対策」と「構造改革」は別物ではない

 今日、自民党大会があった。小泉総裁の「悲観論からは日本の再生はない。自信を取り戻して日本を再生する」との決意は、その通りで賛成だ。
 
 しかし小泉総裁や連立他党の党首の挨拶を聞いて、「デフレ不況を克服」し、「構造改革を断行する」と、二つの問題を並列的におっしゃったのには、ああ、こうした認識からのアドバイスを受けているならば、日本の深刻な経済問題はなかなか解決しないし、今年も政策論議が迷走するな、と思った。
 
 こうしたリーダーを支え,挨拶などの内容についても深くかかわり,責任を共有する経済政策アドバイザーが持っているであろう現下の日本経済の直面する根本問題についての基本認識に、いささか疑問を持ったのだ。 
 
 この発言は、「デフレ」と「構造改革」を別々のものだとの認識に基づいているのではないだろうか? 正解は、「今の日本経済は、構造改革が必要な根深い問題を抱えているから悪性のデフレになっており、構造改革を行わない限りデフレ解消はありえない」という論理ではないのか。
 
 今の日本のデフレは「恒常的供給過剰」と「恒常的需要不足」が続いている事によるもの。たとえば、各産業とも企業数が多過ぎて供給過剰となっており、その結果、不良債権問題に陥っている。中国からの輸入増加で供給過剰、価格下落になっているというが、日本の企業が中国でも作れるものを日本国内で割高値段で作り続けるから、供給過剰が続き価格破壊されているという悲鳴が上がる。日本が、中国が作れないものを適正量作りさえすれば、そのような問題はおきない。要は日本国内の産業構造調整のスピードが世界の変化に追いついていないのだ。「売れ筋商品開発」、すなわち需要創造努力も不十分だ。ましてや、国内産業の競争力強化に努力を傾注せずに円安に頼ろう、などという「逃げ」は論外だ。
 
 このように、デフレ克服は構造改革によってはじめて解決可能なのに、「デフレは優れて金融現象だから、不良債権処理加速、産業再生政策導入、先行減税の次は金融政策しかないのであり、よってインフレターゲットを設定すべきだ」という「にわかエコノミスト」が永田町に急増中だ。
 
 そもそも不良債権処理も、新聞報道を見る限り、竹中プランは竜頭蛇尾に終わる危惧が大だ。政府自身がやれば確実に成果が出る政策を何年も実施せず、今回も勇ましい宣言の末に中途半端で済まそうとしながら、その一方で中央銀行に、効くかどうかわからず、副作用の予想も立たないインフレターゲットを導入せよ、政府と日銀との間のアコードだ、というのだから、困ったものだ。日銀も「戦力の逐次投入」というヘタクソ政策運営をしてきたが、それでも今や20兆円の当座預金残高「ブタ積み」をやり続けている。我々は、たった一つしかない中央銀行の信用が失墜した場合、その回復にはとてつもない時間と犠牲を払わざるを得なくなるのを、改めて心に刻む必要がある。
 
 忘れてはならないのは、日産自動車が再生したのは日銀が通貨供給量を増やしたからでもなんでもなく、単にゴーンさんがシビアな再生計画を実行し、社員が血の滲む努力をして、売れる車を効率的に生産できるようになったからだ!原理はきわめて簡単で、再生のためには初歩的な対策の積み上げ以外に、新しい政策的道具などほとんど要らない。
 
 いつからこの国は「デフレ克服が最重要目標だ」などという「しろうと国家」に成り下がってしまったのだろうか。重病人を前に病巣を探り当てることなく医者が「熱を下げることが目標だ」というに等しい。対症療法に終始し根本的治療を怠る。これでは「ヤブ医者」どころか「ニセ医者」だ。わが祖国日本を「医療過誤」で見殺しにするわけにはいかない。

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