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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2020/05/02(土) NO.828号 

やはり重視すべきは、国民目線

昨日から令和2年度補正予算が執行された。10万円の「特別定額給付金」、中堅・中小企業、個人事業主向けの200万円・100万円の「持続化給付金」、納税・社会保険料支払猶予、固定資産税の減免など、今回の新型コロナウィルス感染への防護策、医療崩壊回避策、そして国民生活や経済へのダメージへの対応策がスタートした。

遅過ぎる、小出し過ぎる、などの批判の中の予算執行だが、今後とも、使い勝手が悪い、考え方がおかしい、などいろいろな問題は当然起きてこよう。しかし、大事な事は、ほぼ全党一致で成立した補正予算だから、明らかに間違った事は、政府も我々与党も、さっさと認め、それを直した上で、一刻も早く政策効果を出す事、場合によっては、足らざる政策は、躊躇なく可能な限り早期追加導入を図り、国民生活を救済することを最優先とすることが決定的に大事であることを、改めて肝に銘ずるべきだ。

その意味では、昨日、国税庁酒税課から発表された酒蔵など酒造メーカーが原料用アルコールから作る手指消毒用アルコールにかかっていた酒税を、取り敢えずコロナ危機期間に限って免税扱いにする、との政策変更「酒造メーカーが作る手指消毒用アルコールの酒税が免税へ」は、迅速かつ適切だった。私からの「法解釈による免税措置提案」に対し、当初は法改正なしではできない、としていた霞が関でも最も保守的と言われる財務省・国税庁としては、異例のスピード決断であり、これで、飲用酒類に供することのない消毒用アルコールに課せられていた20%台にもなる酒税負担が無くなる。また、国税庁当初提案では医療機関と高齢者福祉施設に売り先を限定していたが、その考え方もなくなった。このような国民目線の柔軟な対応が、全てにおいて、今回の深刻なコロナ危機には必要だ。

同じように、間違いを認め、さっさと変更をしてもらわなければならない政府決定がある。それは、NPO法人に対する「持続化給付金」の給付要件だ。NPO法人の本質を踏まえず、社会福祉法人等公益法人と同等の要件としてしまっている、あり得ない給付要件の設定だ。政策当局の上から目線の結果であり、国民目線、需要者目線は二の次となっている。

政府作成の「持続化給付金申請要領」をみると、「NPO法人や公益法人等特例」とのページに、「給付額の算定式」があり、そこには通常の中小企業の場合にこの給付金支給の対象となるための要件である「売上が前年同月比で50%以上減少している事業者」に匹敵する「公益法人の収入」として、一律に決めている。その算定の考え方がNPOの基本を外すものとなっているのだ。そこには、「収入」の定義に当たって「寄付金、補助金助成金、金利等による収入など、株式会社等でいう営業外収益に当たる金額を除き、法人の事業活動によって得られた収入のみを対象とする」と書いてある。

この事が、NPO法人の場合、何を意味するかと言えば、「非営利法人の行う営利活動収入」だけを「売上」、「収入」とみなす、ということとなり、NPO法人会計基準にも明確に「本業」とされている「寄付金、補助金、助成金、など」は、今回の新型コロナ感染対策の影響を受ける「収入」として一切カウントしない、という事とされてしまっている。あり得ない事だ。「認定NPO法人」の認定に際しては、パブリックサポート・テスト、という要件が課されていることに現れているように、幅広い人々からサポート、すなわち寄付や助成金により支えられていることがNPO法人にとって重要なのだ。ところが、よりにもよって、その「パプリックサポート」を「収入」としてカウントしない、というのだ。そもそも、多くのNPOは営利活動はやっていないか、やっていてもほんの微々たるものだけだろう。

NPO法人法を所管する内閣府は、一刻も早く、この誤りを正すべきだ。そうでないと、殆どのNPOは、この「持続化給付金」をもらえず、存亡の危機に瀕することとなってしまう。緊急事態宣言がもう1か月延長される公算が大きいこれから、社会は厳しい試練に直面する。NPO活動の重要性はますます高まる。しかし、今回の政府の決め事は、それに反するように見受けられる。再考を強く求める。