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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2004/05/01(土) NO.349号 

改めて、日本の国家戦略を明確に

 8時半から安倍幹事長一行とジョーンズNSCアジア部長と朝食会に参加。安倍幹事長一行はライス大統領特別補佐官ら多くの要人と面談したようだが、おそらく一番実務的な面談がこの朝食会だったのではないか。

 北朝鮮に関する現状分析並びに米国の北朝鮮戦略、戦術を淡々と説明してくれた上、意見交換。印象的だったのは、国家の司令塔たるホワイトハウスの国家戦略策定の中核たるNSCにおける情報量の豊富さと、様々な問題に対する対処方針などが明確に整理されていること、そして絶えず世界の問題を包括的、総合的に注視、分析、判断している、ということが明らかなこと。日本に欠けているのは、この「国家の司令塔」機能ではないか。
 朝食会の後、サウスカロライナからわざわざ車で9時間をかけて前日にワシントンまで来てくれた友人と合流。ハーバード留学直前の80年夏、コロラドでのサマースクールで相まみえて以来の家族付き合いの仲間だ。プロゴルファーを目指す中学一年生のご子息を伴って来ていた。つい最近まで世銀に勤務し、ワシントン郊外のバージニア・マクリーンというところに住んでいたので、子供さんはかつての親友の家に泊まるそうだ。魚の専門家として博士号まで持っている我が友人は、目下日本政府のアドバイザーなどをやっている。

 夜、NYからもう一人サマースクール仲間が合流。日本のメガバンクのNY駐在だ。マクリーンの和食のお店で冷や酒を傾けながら大いに語る。途中、松山の自宅にいる私の妻と二人を電話で繋ぎ、同窓会を米国で行うことを約束。9時15分から、南海放送のラジオ番組「レッツゴー・永田町」にナマで電話出演。

 明日の昼の便でワシントンを発ち、夜には松山まで戻る。今回の訪米で、ある日本の経済界の方が「日本は経済的にレーダー画面から消えた ("off the rador screen" )、との指摘を数多く聞いたよ、塩崎さん」とショッキングなことを言っておられた。おそらく政治的には、元々レーダー画面に入っていなかったのだろう。となれば、まずは経済面で「さすが日本」と思われるだけの成果を再び上げる努力を続ける事が大事だし、同時に対外政策でもより有効に世界に貢献するための政策を構築することが必要だ。6月末のイラク人への政権委譲並びにその後の国内統治と国際的な枠組み作り、イスラエル・パレスチナ問題を含めた中東全体の平和と安定、今月12日から6ヵ国協議作業部会開催が予定されている北朝鮮問題などをはじめ、日本なりの外交戦略をより強力に推進していかなければならない。要は、国家戦略をより明確にせよ、そしてその責任は政治にある、ということを改めて感じた旅だった。