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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2006/03/18(土) NO.432号 

それぞれ課題多き日英が率直な議論(3月18日)

 昨日の朝8時半から、ロンドン郊外、ハートフォードシャーにあるハンベリー・マナー・ホテルにて第22回日英21世紀委員会が始まる。今日の昼食会まで、四つのテーマで率直な議論を交わし、最後に議長サマリーをまとめた。外は、地球温暖化はどこに行ったのだ、というほど寒く、時折雪までちらつく。私は2日連続、早朝に室内プールで泳ぎ、爽やかな気持ちで共同議長役を務める。

 第1セッションは「英国と欧州」ならびに「日本と東アジア」。まず、直近の半年間、EU議長として2013年までの予算、トルコ加盟問題などで苦労した英国の経験を踏まえた議論が行われる。「日本と東アジア」に関しては、もっぱら日中問題に焦点が絞られた。

 第2セッションは「日英と地球規模のエネルギー課題」。直面するエネルギー供給ボトルネックへの解決策などについて議論が行われ、原子力発電の扱いについても真剣かつ前向きな議論が行われた。もちろん資源節約の徹底の方途についての意見も多く出た。

 第3セッションは今回初めて取り上げる「人の移動:移民と多文化共生社会」。人口減少時代を迎えつつある日本と、何百年と多民族を受け入れてきた英国がお互い学び合うことの重要性が強調される。

 第4セッションは「中国とインドの台頭がもたらす日欧へのインパクト」。経済成長と民主主義の関係など、中長期的な抽象的ながら前向きの議論が多かったが、私からは、中長期的な両国の国内情勢改善と国際的な役割の増加のためにも、短期的に両国が躓かぬよう、日英が協力して両国に対し、経済、政治インフラ整備支援を行べきであることを指摘。特に2008年北京オリンピックに向け、マンハッタンのオフィスビルの3倍のビルが建設中であるなど、バブルが形成されつつあり、将来の不良債権化、経済破綻が懸念される中国、所得と資産蓄積の格差拡大が顕著なインド、の双方で経済的、政治的な危機が発生しないよう、今からやるべきことが多くあることに触れておいた。

 いつもながら、英国人の奥行き、インテリジェンス、言葉の操り方の巧みさなどに感服する。日本も世界から真に高い評価を受けるためには、まだまだかなりの努力が必要であることを改めて痛感する。政治家、官僚、経済人、学者・研究者、マスコミなどの知恵と行動の高度化、総合化、ともいうべきプロセスを強化することが大事だが、日本ではそうしたことが、財政窮乏化などを口実に逆に益々軽視されつつあることが心配だ。