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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2004/09/14(火) NO.362号 

韓国と、より緊密な連携を

先週10日(金)、大阪に飛ぶ。まず午後一時から自民党近畿ブロック幹事長会議に、党改革検証・推進委員会事務局長として参加、今後は全ての空白区、補欠選挙での候補者選定は公募で行う、等々の党本部方針について説明し、大いに議論。その後、夕刻より、「塩崎恭久と語る会 in 大阪」を、東洋大学の松原教授との充実した対談と懇親会で開催、近畿地区の300人弱の皆様にお集まりを頂き、意義ある機会となった。また、私が後援会長を務める東京芸大ご出身の邦楽家、澤千佐子さんらも演奏で参加して下さる。

 翌土曜、日曜と松山で活動の後、最終便で上京。月曜朝一番から、党改革や独禁法改正の大詰めの打ち合わせ。午後、自民党中・四国ブロック幹事長会議に出席、終了後福岡経由、下関に移動。「第12回日韓フォーラム」への参加のためだ。日韓総勢40人余りのシンポジウム。

 昨日夕刻からの第一セッション「国内政治・社会の変化の対外関係、とりわけ日韓・韓日関係への影響」では、福田康夫前官房長官がキックオフスピーチを行う。残念ながら私は間に合わなかった。内容のある議論が行われた、と言う。

 今日は、午前中は「北東アジアの政治・安全保障の現状と日韓安保協力関係の展望」で、武見敬三参議院議員、文正仁大統領諮問東北亜時代委員会委員長からそれぞれ率直かつ整理されたプリゼンテーション。フリーディスカッションでは、当然韓国がかつてIAEAへ未申告で核関連実験を行っていた事について、かなりストレートな質問が日本側から飛んでいた。これまで、日本は核武装をするのではないか、との詰問があった事とは全く逆の立場。

 午後は「東アジアの地域的統合の進展と日韓協力の展望」という、主にFTAに焦点を当てたセッション。プリゼンターは日本側が慶応大学の木村福成教授、韓国側は安忠榮対外経済政策研究院長だ。いずれも極めて前向きで明るい発表だった。

 意見交換の口火を私が切った。日韓ともASEANともFTAの早期締結は望ましい。が、そもそもFTAや地域統合は、経済的なメリットもさることながら、政治的にその地域内の危機やリスクをどのように抑制、管理するかという問題も重要で、政治戦略上明確な位置づけと、政治的意志・決断、そして政治リーダーシップが大いに必要な課題だ。何となれば、FTAを合意するという事は、まずそれぞれの国内産業・経済構造改革を迫られるもので、国内における変化への抵抗を治める政治面での努力無しには不可能だし、域内国間で歴史的に抱える難問も政治的に乗り越えなければならないからだ。中国・台湾関係を見ても、政治・軍事的対決を回避するためにも経済統合は重要だ。EUがここまで来るのに半世紀かかった事を念頭に、我々は東アジアの統合に関する政治戦略上のビジョンを共有すべきではないか、と主張。

 なお、上京のため明日の「日韓交流の飛躍的発展のための多様なセクターの役割」とのセッションに参加できないため、議長のお許しを得て、最後にもう一言。FTAや域内統合は、「良いヒト・良いモノ・良いカネ」の移動を可能にしなければいけないが、より良い地域を作るためには、良いヒトの交流が大切。2年ほど前のこの会議でも主張したまま答えが出ていない、日韓間での高校生交換留学制度の確立を訴える。お互いの国に一年間、それも双方ホームステイで両国民のハートに触れ、お互いの国を好きになって帰国する、地道な努力を長期的戦略として推進すべきだ。とりわけ歴史問題を抱える韓国(もちろん日中間でも実行すべきだ)との間で、人間的ふれあいを若いうちから行う事が重要だと思う。前回の議論から、韓国の文部省は高校段階での留学は認めないし受け入れない、と聞いている。アメリカは、約3000人の高校生を半世紀以上に渡って全世界から受け入れ続けており、我々夫婦、二人の息子達も皆そのプログラムの恩恵を受け、それぞれ「アメリカのお母さん、お父さん」などが今でもいる。日本政府もASEANや中国からの高校生受け入れプログラムを持っていたが、財政再建で真っ先にカットの対象となり、今や風前の灯火。何と長期戦略のない事か、と外務省の尻を叩いているところだ。言葉を覚えてもらい、大学、大学院でもまたお互いの国に行くためにも、高校生留学は有効なはずだ。

 夕食会で、「塩崎さんの高校生交換留学のアイディアに大賛成だ。韓国に帰ってその考えを広め、政府をプッシュしてみるよ!」と言ってくれた方が何人かいた。嬉しかった。なお、高校生留学の重要性については、かつて私は「高校生の交換留学は国家百年の計」と題し、日経ネット「ザ・フロントランナー今週の視点」というコーナーに小論を書きましたが、その原稿は私のホームページでご覧になれますので、ご参考まで。