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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2004/12/31(金) NO.380号 

実態に合った新たな障害保健福祉グランドデザインへ

 いよいよ大晦日。昨日は友人宅で毎年行われている餅つきに参加。近くの土手で採ったよもぎ入りの餅もつく。その足で石手寺裏の我が家のお墓の掃除に行く。結構多くの家族連れがお墓掃除に来ており、殆どのお墓に既に新しいしきびが手向けられていた。今日は自宅の大掃除。もっと早くやっておけば良かった。

 28、29日の両日、厚生労働省が進めつつある、障害保健福祉施策の改革(いわゆる「グランドデザイン」)に関し、地元で精神障害者関係並びに、共同作業所関係とのミニ集会を行い、勉強をする。

 精神障害者関係の会には、精神保健福祉士2人と愛媛県の精神障害者家族連の事務局長さんの3人が参加して下さる。精神保健福祉士のお一人は、今治から初めて参加して下さる。これまで身体、知的、精神の3障害のうち、障害保健福祉施策の上での扱いが圧倒的に後れてきた精神障害が、やっと今回の法律・制度改正で他の2障害と一本化されそうだが、結局負担だけが統一され、受けられるサービスの面では他の2障害に吸い取られ、やせ細った骨だけのようなものになるのではないか、と心配されていることがよく分かった。法定雇用率制度も、これまで精神障害だけ適用外で、やっと来通常国会で法定化される予定であるなど、確かに様々な点でかなり後れてきた。また、ここ愛媛県でも精神障害者対策は大きく後れをとっており、例えばこの松山市を中心とする道後平野には、精神障害者の社会復帰施設はゼロ。先日やっと地元の同意を得られた松山市畑寺において、来年度、精神障害者通所授産施設や地域生活支援センターなどが入る複合施設が事業化されることとなった程度だ。

 また来年、障害者自立支援給付法(仮称)として出される予定の法律における障害者の利用者負担の全貌説明が不十分で、厚生労働省の資料ではモデルケースがいくつか示されているが、例えばグループホームにいながら複数のサービスを利用した場合の本人負担が不明確、などの問題がありそうだ。

 他の障害の場合も同様だが、昨今70歳、80歳の高齢の親が中年に達した障害者のお世話をしているケースが増加傾向で、同一住居内でもやむなく世帯分離を行い、生活保護を受けられるようにするなどの自己防衛策を講じることも、ままあるようだ。

 参加者からは、応能負担も原則的にOKだし、ホテルコストの負担も当たり前だが、多くが年金のみの生活者なので、負担能力はきちんと見てもらいたい、との極めてもっともな指摘もあった。

 共同作業所の皆さんとの勉強会には作業所の主宰者ばかり6人が参加して下さる。馴染みの方が多い。最大の問題提起は、「新しい障害保健福祉の体系の中で、共同作業所はどこに位置づけられるのか?」との懸念だった。また、話し合いの中で改めて認識させられることがいくつもあった。例えば、厚生労働省が作業所への補助を減らす中で小規模作業所から「小規模通所授産施設」への法人化を進めてきているはずだが、ここ愛媛県では、まだ3カ所しかなく、やはり作業所の重要性に変わりはないのではないか、との指摘があった。私は、法人化の条件緩和を行っても、愛媛県のような地方ではそれですらできない作業所ばかりだ、と厚労省や財務省に声を大にして警鐘を打ち鳴らしてきたが、やはりその通りのようだ。また、支援費制度が導入されて間もないのに、またまた政策の抜本変更とは、なんたる「猫の目行政」だ、と厳しい指摘。

 共同作業所に通う「仲間達」(障害者)の「月給」は安ければ3500円程度のようだが、それは仲間達にとっては大事な「労働の対価」であり、決して「お小遣い」ではない、とのことだ。仲間達が月々3500円から少しずつお金を貯めてお母さんにラーメンをご馳走したり、積み立て旅行に行った時の喜ぶ姿を見ていると、作業所運営の辛いことも皆吹っ飛ぶ、との言葉には重みがあった。仲間達は「デイサービス」には風呂とカラオケのために行くだけで、本当は行きたくなく、作業所に来ると目の色が変わり、活き活きとしているそうだ。「社会人」として「働きに来ている」との誇りがある、と言う。

 もう一つ知ったのは、高齢者の場合と異なり、障害者グループホームの設置は社会福祉法人しかできず、NPOや個人、会社ではできないそうだ。先ほど指摘したように、障害者の親の高齢化が進んでおり、92歳の母親が57歳の障害者をお世話しているような限界的なケースも起きている。制度面での問題があるならば、グループホームの設置基準を一日も早く柔軟化する必要がありそうだ。

 本件に関し、自民党内で十分な議論をしたとは言い難いが、来国会に法案は出てくる。年明け後、改めて議論を深めたい。大事なことは、実態にあった、新しい障害保健福祉のグランドデザインを描き、実行することだ。

 今年は台風、地震、津波と、天災が多く、地球環境問題も心配になった年でした。
 
 来年は酉年。明るく元気な年になることを祈りたいと思います。

 皆さん、良いお年をお迎え下さい。