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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2008/01/07(月) NO.453号 

温暖化と闘うみかん達(1月7日)

 昨日、テレビ朝日・サンデープロジェクトの年頭の「環境スペシャル」に出演。近年の地球温暖化の影響を受け、「紅まどんな」など温暖化に強いおいしいみかんの品種改良を重ねる地元・愛媛の農家の先進的な取り組みを紹介したところ、早速メールで多くの方から反響があった。

 みかんを作っている近所の知人が、新種のみかんをいろいろ届けてくれたのは去年の年末のこと。「ここ数年、温暖化のせいで、今までのみかんが出来にくくなってしまった。それで、いろいろな改良品種を育ててみているので、食べてみて。」と差し出された。温州みかんに暑さに強いアメリカのオレンジをかけあわせた「紅まどんな」をはじめ、身と皮の間に隙間ができにくい「はれひめ」、改良品種のマルチ栽培の温州みかんなど。甘く、実が重たく、香り高く、それぞれに美味しく、定番のみかんとは一味違った個性のあるみかんたち。今時は個々の農家が糖度を測定する機械を持っていて、そうやって育て選び抜いたみかんを詰めて個別に消費者に届けるサービスも始めたという。みかんも個別ブランドの時代になってきたということか。

 自然とともに生きる地元農家の人たちは、じわじわと進む地球温暖化の影響をいち早く肌で察知している。そして、そうした変化に果敢に挑戦し、頑張っている。専門家が、「いずれ愛媛は亜熱帯化し、ミカンがとれなくなる」と警鐘を鳴らすなか、こうして逆転の発想で温暖化に応えた新品種の開発に意欲的に取組む愛媛のみかん農業が全国的に注目されている。地方の活力の源泉がここにある。

 安倍政権が歴代政権の中で初めて地球温暖化問題を国政レベルの主要な政策課題として取り上げた頃、まだまだこの問題に対する国民的関心は低かった。しかし、ようやく地球温暖化は遠い北極でシロクマが溺れる話ではなく、身近な生活の脅威であるという認識が広がりはじめた。今、大事なことは、この問題のネガティブな面ばかりを強調することではなく、この機会を新たなサービスや産業創出への挑戦の好機と捉えるポジティブな取り組みにも光りをあてていくことである。変化は新たなチャンスでもあることを机の上に並んだいろんな顔をしたみかんが教えてくれる。

私の経験上、温暖化対策は、各省縦割りの思考では絶対に大きな前進は期待できない。洞爺湖サミットに向けて、地球環境を守りつつ、国益の観点から外国としたたかに渡り合う戦略的な政治のリーダーシップを今こそ発揮すべきときである。待ったなしの地球環境問題に、国民あげて、さらに国境を越えて取組んでいくために。