トップ > やすひさの独り言

やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

  • メールマガジン登録・解除
  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー
2005/04/22(金) NO.394号 

JTは「良き企業市民」たれ(4月22日)

 現在、松山市内の商店街が、JT松山工場跡地の大型商業施設化に対する反対署名をこぞって行っている。

 JT(日本たばこ産業株式会社)は、タバコ需要の低迷などを背景に2003年以降、全国で14カ所のタバコ製造工場を閉鎖、他に社宅やグラウンド等の処分も同時に行ってきているが、そのうち既に6カ所が商業施設となる事が決まり、松山工場もそのひとつとなっている。他に上田、函館、鹿児島などの工場跡地も、方針こそ明らかになっていないものの、やはり商業施設化する、との見方が多い。

 松山には大きなデパート(高島屋、三越)が2つあり、それらを両端にする形で中心商店街が発達し、いわば松山市の「中心市街地の顔」を形成してきた。JT松山工場は、中心商店街西端にある高島屋から歩いてほんの5分少々に位置し、跡地がどのように開発されるかで、ご多分に漏れず息切れ気味の中心市街地の町の顔に大きな影響を与えそうだ。従って私は、工場閉鎖が決定された直後からJTの幹部に対し、「松山の町作りにダメージを与えない跡地利用」を繰り返しお願いしてきていた。

 しかし、昨年、「JTも企業経営が苦しいため、松山工場跡地は、収益性の高い商業施設に活用したい」との方針を私達に伝えてきた。確かに、商業施設が消費者利便に資する事が多いのは事実だが、現在我々が自民党内で「まちづくり3法」の見直しを行っている事からも明らかなように、これまでの商業開発は、しばしば「まちづくり」の観点からは問題なしとしないケースが多かったのも事実だ。

 今回のJT工場跡地商業開発に関して私は、いまだ約50%の株式を国、すなわち国民が保有する旧専売公社が、民営化後といえども松山市の「まちづくり」という公益に明らかに反する行動になりかねない、と考えてきた。そもそも経営が苦しいなら、弱い立場のものを窮地に追い込んだり、反公益的行動をとる前に、メガバンク同様、バブル時代の残滓そのもののような豪華な本社ビルを売却し、倹約するなどの自助努力をまず尽くすのが当然だろう。また、何よりも、跡地利用を計画するならば、その町全体としてのまちづくりを十分に踏まえ、町の顔である中心市街地の活性化に資する計画とすべきではないだろうか。JTの跡地利用の打診に対し、松山市も「市としての利用計画はないが、商業開発には反対する」と伝えた、と聞く。市にも決断と行動が求められる。

 JTのホームページを見ると、同社の経営理念が四つ掲げられている。その第3番目に「社会に対する責任」があり、その中で、「地域社会で歓迎される良き企業市民となる」と記されている。更に「地域社会発展のために継続的貢献を行う」との決意表明もされている。JTは自らの言葉通り、公益性の高い民間会社としての良識を示して欲しい。