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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2005/05/07(土) NO.401号 

「力強く、頼られる日本」へ向け、一層の努力を(5月7日)

 安倍晋三幹事長代理を中心にした一週間ほどの訪米を終え、帰国の途へ着く。かなり充実した訪米だった。副大統領、国務長官、国防長官、財務長官、FRB議長など閣僚クラスから始まり、国家安全保障担当大統領補佐官、国家安全保障会議幹部など行政府の要のスタッフとの中味の濃い意見交換ができたと思う。

 改めて感じたことは、米国の政権中枢の発想は、いつも基本は安全保障にある、ということだ。評価はいろいろあろうが、絶えず世界と米国の関わりを考えながら、その中で経済政策を含めて米国の国家総合戦略が展開されているように思う。今朝のTVでは、ブッシュ大統領のラトビア・リガでのスピーチを生中継していたが、今回の訪欧では対独戦勝60周年記念式典のあるロシアやオランダなど主要国の他に、バルト3国、グルジアへの訪問・首脳会談が行われる。なぜこの時期にこれらの国を訪問し首脳会談を行うのか。今回我々は対アジア政策を策定するパワーエリート的スタッフなどと議論を重ねたが、おそらく彼らに相当する欧州、旧ソ連担当スタッフが詰めに詰めた戦略案を下に副大統領、国務長官、国防長官などがさんざん議論し、最後は大統領を交えた会議で作戦を固めての訪問なのだろう。

 自らの国家、国民の繁栄と生き残りを最終目的に、世界とどう関わり、対内、対外政策をどう進めるか、が政治の基本であることは当然だ。政権がその全責任を負うのが言うまでもないが、問題はその政権の意志決定をどのような人材がどのような立場で担い、誰が最終的な政策決定責任を負う体制を組んでいるか、だ。大統領制の国、議院内閣制の国、いずれの場合でも、戦後、とりわけ冷戦構造終結後の主要国では、この仕組みを如何に政権の意志がより良く反映される、効率的かつ強固な仕組みに改善していくかの努力の歴史だった。日本でもこのところ副大臣・政務官制度や官邸機能の強化などを行って来てはいるが、所期の目的達成にはまだまだパワー不足の感は否めない。政治改革の魂がまだ仏に入っていないのだ。

 今回の訪米で、中国、韓国との関係改善、中国経済の安定的発展、北朝鮮問題の解決など、一朝一夕には解決できそうもない問題ながら、日本こそが主体的に前向きの答えと成果を出さなければならない課題についての指摘が多くなされた。やはり政権の意志決定は、名実ともに政治家が担わなければならない。訪米中に何度か触れられたが、中国の存在感に圧倒されてはいられない。日本が再び「力強い国」、「頼られる国」となるよう、政治家としてさらなる努力をしなければならない、との認識を深めた旅だった。