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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2005/12/08(木) NO.418号 

EUのダイナミズムを感じる(12月8日)

 昨日は、一日かけて EU 並びに NATO の要人と面談すると共に交流行事に参加。そして、今日は、ブリュッセルからロンドンまで2時間少々の列車移動、初めてユーロトンネルを抜ける。ブリュッセルとロンドンが予想以上に近い事に驚く。到着後、国際会計基準審議会議長、英国国際開発省政務次官、日英21世紀委員会英国側座長などと会う。いずれからも、変わりゆくEUのダイナミズムを感じる。

 ブリュッセルでの面談は米国 NATO 常駐代表のヌーランド大使から始まる。NATO 本部内の米国代表部の代表室で面談。二児の母で、ご主人はネオコンで名が通るカーネギー国際平和財団のロバート・ケーガン氏。面談を通じ同代表が、日本の様々な制約を理解しながらも、そして NATO 自身の活動内容も変わる中、日本による一層の国際貢献の可能性についてかなり熱心に考えている事がよく分かった。日本も新たな憲法を模索するなどの中で、あるべき国際貢献についての議論が深まりつつある事を伝える。

 続いて、ソラナ EU 外交・安全保障政策上級代表。中央アジア情勢、中東和平、イラン核開発、日・EU 戦略対話等につき意見交換。来春の東京における次回定期首脳協議には自ら訪日したいとの意思表示あり。

 午後一番はデ・ホープ・スケッフェル NATO 事務総長。オランダ人だ。機関銃のように早口で沢山の事を話しながら、日本との対話と関係強化の必要性を強調。また、私から述べた中央アジア情勢、中国と東アジア・中央アジア安全保障構造変化などについて、強い関心を示した。つい先日パン・キブン韓国外相が NATO で講演をしたが、麻生外相にも是非訪欧され、意見交換の場を持ちたい、との招きがあった。

 クルース競争政策担当欧州委員とは、まず私から日本の独禁法改正等につき説明の上、EU の競争政策の課題について意見交換。

 昨晩から今日にかけ、NATO・EU 合同夕食会、NATO 外相会合、EU 非公式閣僚会議などが行われる中で、各要人とも時間調整をして会ってくれた事は有り難かった。

 邦人記者との懇談の後、2005日・EU 市民交流年クロージングイベントに参加。この一年間で、双方にて1700を超える各種交流イベントが行われ、相互理解・友好が深まった由。

 ロンドンでは日本で何度かお会いしている国際会計基準審議会のトウィーディー議長が、急な面会申し込みの上、今朝米国から帰国されたばかりだというのに、自らの執務室にて面談に応じてくれ、感謝。カナダが国際会計基準への移行を公表した上、中国も正式にその方向で動き出した事などから、ここに来て米国と国際会計基準審議会との間での基準統合(convergence)へ向けての動きが予想以上に進展している由。この年末までに行う、といわれている EU による米国、日本、カナダの各会計基準の同等性評価も、基準統合の可能性が高まれば延期の可能性すらあるようだ。しかし経済大国で最も動きが遅いのが日本となっており、議長から私には作業加速の後押し要請があった。ただし私からは、日本の財務会計基準委員会も、これまで以上に積極的になっているとも聞いているので、帰国後、関係者にそうした世界の動きを伝える事を約束する。目先の都合と小異に拘る事により、日本経済の中長期的発展を阻害してはならない。

 日英21世紀委員会の共同議長を務めるカニングハム上院議員と英国議会内の食堂にて昼食。来年3月の英国での会議の運びなどを話し合うと共に、最近の英国政治などについて歓談。保守党で39才の新党首が選ばれたばかりだが、若いながらもなかなか力があるようで、英国政治にも少し動きがありそうだ。

 先月パキスタンの支援国会合で英国を代表していたトーマス政務次官を英国国際開発省に訪ねる。すっかり話せる仲になった。その後、日本の商社の欧州・英国代表の皆さんと懇談。国際投資銀行の存続すべき機能のあり方などについて現場を踏まえたお話を頂く。

 渋滞の中、ヒースロー空港に到着後、19時発の便で成田に向かう。かなりタイトスケジュールだったが、多くの責任ある人々とのネットワークを作る良い機会に恵まれた。EU にしても NATO にしても、それぞれ25カ国、26カ国と、加盟国数が拡大中であると共に、活動内容も変化しながら広がりつつある。各国の経済情勢もまずまずとあって、そこここで EU のダイナミズムを感じさせられる旅だった。