トップ > やすひさの独り言

やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

  • メールマガジン登録・解除
  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー
2009/01/26(月) NO.506号 

公務員改革は新しい日本への試金石(1月26日)

 2007年7月、安倍総理の決断で延長された国会において、党内や霞ヶ関から迫り来る、想像を遙かに超える抵抗を押し返しながら、国家公務員制度改革関連2法が成立し、半世紀以上ぶりに公務員制度の大改革が始まりました。まさに「戦後レジームからの脱却」と呼ぶにふさわしい象徴的な改革の大きな第一歩。07年4月の閣議決定に従い、08年6月には福田内閣の下、民主党との修正協議も経て国家公務員制度改革基本法が成立し、キャリア制度の廃止、内閣への人事一元化など、画期的な改革の具体的基本理念、基本方針が決められ、改革の更なる前進への道筋がしっかり付けられたのでした。

 しかし、その改革の工程表が今週30日(金)に閣議決定されるというのに、その改革推進には引き続き危険信号がともったままです。ここは、日本を変える千載一遇のチャンスを活かせるかどうかの大きな岐路。政府の公務員制度改革推進本部の事務局案では、残念ながらこれまで我々が指摘してきたポイントは殆ど活かされていません( 「独り言」504号1月12日付け参照: http://www.y-shiozaki.or.jp/oneself/index.php?start=0&id=653/ )。

 例えば、1月8日の自民党行革本部・公務員制度改革委員会(石原伸晃委員長)に政府の改革推進本部事務局が示した工程表には、「天下り」との言葉すら入っていませんでした。私からは、「天下りの根絶」という明確な柱を立て、政府として天下り根絶に向けての具体的ステップとスケジュールを示すべきだ、と従来より主張してきた点を改めて強く提案しました。22日の同委員会に示された工程表には、一応「天下りの根絶に対応した人事制度」との項目は立てられましたが、その内容たるや天下り根絶の期限も示さず、早期勧奨退職制度の廃止日程などの具体策も全くありません。むしろ「定年延長」や「再任用の原則化」など、公務員にとっての待遇改善ばかりが前面に出ており、到底国民の納得できる内容ではありません。そして、どうやら現時点で政府部内において検討されている案では、この点の期限も具体策も明確になっていないようです。

 さらに、改革を名実ともに実現するための、能力評価による新たな幹部人事制度を裏付ける給与法を提出するべきだ、と我々がかねてより強く提案してきた点については、どうやら相変わらず「賞与」や「手当」の部分的修正ではぐらかし、給与制度の抜本的な見直しを行おうとしていないようです。

 工程表のその他の課題に関しては、人事組織・機能の内閣人事局への集約化に際しては、相変わらず人事院などの強い抵抗があり、ここはスッキリ分かり易い組織や機能にしなければならないでしょう。

 公務員改革に関しては、工程表以外にも喫緊の重要課題がいくつかあります。昨年末に閣議決定されてしまった「退職管理に関する政令」(天下りの各省斡旋の扱い)の扱いについては、「総理承認」および「ワタリ斡旋の総理承認」はいずれも政令から削除すべきです。一部議員から、議員立法でワタリを禁止しよう、という意見が出されていますが、私はそれだけの内容の法案ならば賛成できません。なぜなら、それでは「各省斡旋の総理承認」の方は認める事となってしまい、あえて第三者としての監視委員会を設置して、外の目で見て認められる各省斡旋だけは退職時に一回だけ認めよう、とした立法の根本精神に反して、内間のトップである総理に各省斡旋を承認させる、という仕組みになってしまうからです。

 また、公益法人理事への天下りについても、新たな天下りルール設定はしない、と昨年12月に質問趣意書への答弁書の形で閣議決定してしまいました。しかしここは本来、現行の「1/3規制(理事のうち、主務官庁からの天下りを1/3以内に抑制)」を少なくとも維持する事はもちろん、さらに強化すらすべきでしょう。

 「速やか議連」では既に22日、今後の税制抜本改革の大前提となる「不断の行革推進」や「無駄排除」などのため、@「成長戦略・景気・雇用対策プログラム」、A「社会保障改革プログラム」、B「行政改革・国会改革・歳出の無駄の排除」、に関してそれぞれプロジェクトチームを立ち上げ、党としての明確な方針、工程表等について、税制改正法案が成立するであろう3月末までに結論を得るよう要請しています( 「ライブレポート」1月22日付け参照:
http://www.y-shiozaki.or.jp/livereport/index.php/ )。そうした党の方針との整合性を確保するためにも、政府の工程表を不十分なものにはできません。一両日中にも開催される石原委員会では、自民党として断固たる改革の姿勢を示し、政府の工程表を正していかなければなりません。この公務員制度改革という難しいテーマについて、納得できる答えを自民党が出すことができるのか、そして今後とも政権を任せるに値するのか、国民はじっと注視しているはずです。