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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2006/07/25(火) NO.439号 

活気あふれる経済の中心ムンバイ(7月25日)

 朝7:30発の便にて、シンガポールからムンバイに到着。1971年、大学一年生の時に父と来て以来、実に35年ぶりだ。親の前でお酒を飲んだことがない当時、不注意にもホテルのポットの水を飲んでおなかを壊し、酷い目にあったのを思い出す。

 当時、空港からムンバイ(当時の名称はボンベイ)市内までの間、道の両脇一面に置いてある下水道工事に使うヒューム管などの中で大勢の市民が暮らし、交差点では子供達が物乞いのために我々の乗る車窓に殺到する、超貧困の世界だった。が、今は確かに空港の滑走路周辺や町のあちこちにスラム街はあるが、多くは「家」に近い格好の構築物の密集するスラムで、聞くところによれば、普通のサラリ-マン風の人も住み、テレビなども結構持っている、という。物乞いも少ない。格段の変化だ。市内は至る所、車が渋滞。車の前を人が平気で横切り、クラクションは鳴りっぱなし。が、活気があふれる街だ。

 まず、最近日本でも「インド人はMITやスタンフォード大学を滑り止めにし、インド工科大学を本命にする」との評価が聞かれるインド工科大学(Indian Institute of Technology)ムンバイ校を訪れる。国立大学で、インド全土に7校あるうちの一つ。工学系7学部、科学系5学部の12学部がある。学長などの説明を受け、学校内を見学。総支出の2〜3割は委託研究などで自ら稼ぎ出し、残りは国の予算とのこと。学長らの自信はかなりのもので、欧米の大学については学生の進学先や共同研究先、提携先とみなしているのに対し、日本の大学に関しては興味も関心も殆どない様子にショックを受ける。日本の大学よ、頑張ってくれ!

 インド最大の財閥、タタ・グループの一社のIT企業タタ・コンサルタンシー・サービスを訪問し、グループと同社の活動振りについて話を聞く。IT、自動車、鉄鋼生産から小売り、ホテルに至る手広い商売を手堅く、しかし積極的に行っており、急成長中だ。

 続いてムンバイ証券取引所を訪れる。COOから話を聞くが、鼻息は荒い。上場企業数5000社を超え、急成長中の取引所だが、質の面でも、上場企業のコーポレートガバナンスに関し、世界の取引所の中で、オーストラリアに次いで第2位だ、と自慢する。日本で言う「社外取締役」について、法律を上回る自主ルールを取引所が定めているかどうかを聞いてみると、NY証券取引所と類似する「独立性」に関するルールをここ2〜3年はきちんと定めており、質的に日本を凌駕していることをよく知っていた。そのルールブックを貰う。経済界からの抵抗はなかったのか聞くと、当然あったが、インド証券取引委員会と大蔵省の応援をバックに、経済界とは折り合いを付けたそうだ。東京証券取引所は負けている。5000社のうち、ロンドンに約50社、NYに12社、シンガポールに2社並行上場しているが、東京市場への上場はゼロだ。

 インド準備銀行にて、ラケシュ・モハン副総裁らとも意見交換。短期的にも、中長期的にも、インド経済の将来に関し冷静な分析をし、当面拡大基調は変わらないだろう、との自信を示していた。説得力がある。

 夕方、タタ・グループの総裁に再会。今月初、東京にて麻生外務大臣と共にお会いして、今度ムンバイに行くと申し上げたところ、御本人からお手紙をいただき、日程調整の上、昨晩遅く帰国したばかりなのに、面会が実現。物静かな方だが、言葉に重みがある。日本企業のインド進出状況に関し、電力などのインフラを含め、なぜ中国、韓国企業などの後塵を拝し続けるのか、との指摘を受け、重く受け止める。このままでは日本企業は益々出遅れてしまう。

 夜は在ムンバイの日本からの経済人と夕食を共にする。経済の中心であるムンバイから見たインド経済の将来と日本企業の今後の方針などを中心に示唆に富んだお話を聞く。ムンバイでは家賃など不動産関連価格が急騰中で、総領事館で働く日本人派遣員の女性が安心して暮らせるアパートの家賃は、何と20数万円だそうだ。しかし、その分ムンバイもインド経済も勢いよく成長中であることが強く感じられる。

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