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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2007/10/31(水) NO.447号 

頑張る地方の動物園(10月31日)

 数日前、愛媛県立とべ動物園の新しい赤ちゃんレッサーパンダの名前が「喜々(キキ)」に決まったとのニュースを聞いた。かわいい名前もいいが、5つの命名候補の中からインターネットや園内の投票で名前を決めたというのが斬新で面白い。

 とべ動物園は、愛媛県松山市内から車で南に約20分ほどのところにある地元の動物園(http://www.tobezoo.com)。自然の地形を活かした緑の多い緩やかな丘に約200種・1000頭の動物が暮らすこの動物園は、実は最近まで入場者数の減少に悩んでいた。10年程前には年間約60万人近くいた入場者数が、数年前には45万人を割ってしまった。しかし、その後、人気動物の動画配信や参加型企画の充実など、飼育スタッフの皆さんの熱意と創意工夫により、意欲的な取り組みを次々と発表。昨年の入場者は51万人超にまで回復し、今年も昨年を上回るペースで入園者が訪れている。

 だいぶ昔のことになるが、幼い息子達を連れてとべ動物園の前身の道後動物園に行ったことを思い出す。今よりもずっと規模も小さく、近所の素朴な動物園だったが、目当ての動物が見えずぐずる子供を、父親達が汗を拭きながら肩車をしてあやしていた。二十年以上経ち、テレビゲームやインターネットなど多くのより刺激的な娯楽が発達した今でも、たくさんの親子連れが動物園へ足を運び、自然への思いやりと優しい家族の絆を肌身で感じているかと思うと嬉しい。全国的に動物園の人気低迷が続いているが、このとべ動物園だけでなく、レッサーパンダの風太君で一躍有名になった千葉市動物公園など、資金力の限られた地方の動物園でも、関係者の知恵と工夫と熱意により立派に再生・飛躍を遂げられることが証明されている。ここには、真の地方再生への大きなヒントがあるのではないだろうか。

 東京の第一議員会館6階にある私の執務室。来訪者の一番人気は、後援者から頂き部屋の奥に置かれたシロクマの「ピース」のぬいぐるみ。日本で初めて人工哺育により育てられたとべ動物園の看板むすめである。人の世の混乱のなかで、動物たちのひたむきな生命に頭の下がる思いが募る昨今である。