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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2007/11/01(木) NO.448号 

「増税派vs.成長派」論争の落とし穴(11月1日)

 朝、第20回「塩崎恭久と明日を語る会 in 東京」を開催、集まって下さった大勢の皆さんに私の考えを一時間ほど聞いていただく。深く感謝。

 最近、多くのマスコミの方から、財政再建と税制改革に関するスタンスの取材を受ける。メディア側が浮き彫りにしたい争点は、「増税か成長か」だ。しかし、この単純な二者択一型問題設定は、いささか問題の本質を見誤っているのではないだろうか。

 確かにここのところの報道等は、自民党内の一部による積極増税、とりわけ消費税増税発言をとりあげ、あたかも政府・与党全体が安易な増税一辺倒路線に既に転換したかのような印象を作り出している。しかし、福田総理は徹底した政府のスリム化や成長力強化、持続可能な社会保障制度確立、など6原則に基づく歳出・歳入一体改革を打ち出した「骨太の方針2006」、およびその路線を引き継いだ「骨太の方針2007」を堅持すると明言していることを忘れてはならない。政府や国会による税金の無駄遣いカットや、経済成長に向けた改革努力を続ける中で財政再建を実現していこうという小泉・安倍政権の基本路線からはいささかのぶれもない。
 
 注意しなければならないことは早期に安易な増税論に逃げ込むことにはモラルハザードが伴うという点である。現状は、衆・参ねじれ状態の中で年金・医療問題や道路特定財源など、重要課題が山積されたままであり、補正予算の規模もこれからの検討課題である。増税さえすれば多くの問題が解決するとの主張は、歳出削減や経済成長に向けた努力を緩めてもよいのではないかという間違ったメッセージを与えかねない。かつての「大きな政府」への懐古主義が復活しかねない。これから背水の陣の覚悟で厳しい政策課題に切り込んでいかなければいけないときに、背後の川に初めから橋を架けるようなことをしていたのでは戦いにはならない。

 財政再建は重要な課題だが、財政再建だけが国家目標ではない。より本源的な国政の視点としては、「私たちの暮らし向きを良くすること」すなわち「持続可能な経済の安定成長」と、「安心できる社会保障制度の構築」が重要。言い換えれば、国民生活の視点からは「成長の質」と「分配の質」が大事である。「税収」=「経済活動(GDP)」 x 「税率」であることを考えれば、成長(GDPアップ)か、増税(税率アップ)かは、本来二者択一の問題ではないはずである。いつのまにか「財政バランス至上主義」にとらわれ、財政再建が国民生活に優越するかのような幻想に陥ってはなるまい。「尻尾(財政)に犬(国民生活)が振り回される」ようなことがあってはならない。


 安倍内閣は決して単純な「成長派」ではなかった。「少子高齢化・人口現象など構造問題の下、将来消費税引き上げを含めた歳入の見直しが必要になるとしても、まずは『改革推進』と『成長』で、増税幅は最小限に抑える。なぜならば、成長こそが財政や社会保障など分配政策の源泉であり、成長という元手を失ってしまったら、元も子もない」という考えだった。成長と歳出削減と歳入改革の三位一体の取り組みこそが必要であり、いずれか一つだけを強調するのは危険である。近い将来、国民負担増に頼らねばならぬ時が来るとしても、最後の一秒までその負担増を最小限に押さえるためのぎりぎりの努力をするのが政治家の役割であると信じ、今後の経済運営と財政再建のあり方について冷静かつ意欲的に取り組んで行きたい。

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