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2008/01/23(水) NO.455号 

ダボス会議、始まる(1月23日)

 時差ぼけで2時間少々の睡眠の後目覚めると、外は快晴。目の前に雪山が居並び、実に美しい。世界中の政治家、経営者、学者ら約2500名が集まる「世界経済フォーラム」の年次総会である「ダボス会議」がいよいよ始まる。ここダボスはスイス東部にある人口約1万人の小さなスキーの町だ。朝一番のセッションでパネリストを務めるため、8時半過ぎにホテルを出、隣のメイン会議場まで50メートルほど。昨晩降った雪が根雪の上を覆い、歩く度にキュッキュッ、と鳴る。 

 まずは「アジアの新たな役者(Update 2008: New Actors in Asia )」と題するパネルディスカッションにパネリストとして参加。一昨年一緒に会議に出席したシンガポールのリー・クアンユー行政学大学院、マブバニ学長をモデレーターに韓国の Maeil ビジネス新聞・TV会社の張会長、シティグループ副会長のルー氏の4人でまずは各国、ASEANの状況変化についてコメントとクロストーク。フロアーとの質疑応答では意外とアフリカとの関係についての意見や質問が多かった。私からは、それまで5年に一度だった日本主導のTICAD(アフリカ開発会議)を、私の外務副大臣時代にアフリカ等で閣僚級会合を毎年開催するようにペースアップしたことや、今年横浜で開催予定のTICADIVについて官房長官として外務省だけではなく、オール政府、オールジャパンでの対応にすべく官邸に関係閣僚による検討会議を立ち上げて準備してきたエピソードなどを紹介。これまで日本が支援してきたアジア諸国と一緒にアフリカ開発を行う事が日本の特徴でもある事もアピールする。

 10:45〜12:00は「気候変動問題の進展」と題するセッションに参加。司会者はUNFCCCのデボア氏、パネリストにはノーベル平和賞をゴア元副大統領と共に受賞したIPCCのパチャウリ議長の他欧米、インドのエネルギー業界関係者など、大物揃い。日本で行われる気候変動の議論と比べると、2〜3周先を行っている、という感じ。フロアーとの質疑応答もレベルが高く、イスラエルの電気自動車メーカーの人の話しを聞くと、優位にあるはずの日本の環境技術も、安閑としていられそうもないなど、日本はもっと国全体として気候変動問題に積極的に取り組まねばならない、との印象を強く持った。最後のまとめの際に、米国のエネルギー関係会社のCEOが、「私は排出権取引に賛成だ」と言い切ったのが印象的で、予想通り、米国内はドンドン変わっている。

 13:45〜15:00には、「米国がくしゃみをすれば、いまだに世界は風邪をひくか?」というタイトルで、フレッド・バーグステンなどが議論。このところの世界同時株安を受け、会場は満杯。中国の全人代常務委員会の成思危副委員長が、高齢ながら流ちょうな英語でしっかりした経済政策の議論を行っていたのに感服する。

 15:30から「2008世界経済ブレーンストーミング:不確実性は」というセッションのディスカッション・リーダーとして参加。20弱のテーブルに12〜13人ずつ座り、まず、2008年の世界経済成長にとっての最大の脅威は何か、を各テーブルで一つに絞る。そしてそれらを会場全体として10項目ほどにまとめ、全員で電子投票で一つに絞る。「協調した対応とリーダーシップの欠如」が一位だった。サブプライム問題について、私からは、本件は詰まるところ不良債権問題であり、日本の経験からしてやるべき事は、@金融機関のロスを早く確定する事、A民間、ないしは公的に資本充実を早期に行う事、に尽きる旨発言したところ、多くの出席者がうなづいてくれた。 特に、日本での教訓は、そうした対応は早ければ早い方が米国経済にも、世界経済にも良い事を強調した。要は、経済を過熱状態で長らく放置し、なおかつ金融緩和を長期間継続しすぎたツケをどう最小化、最短化するか、だ。他の参加者も、比較的冷静にこの問題を見ている事も感じられた。

 17:00から一連の開会式行事。World Economic Forum の創始者、シュワブ氏、クーシュパン・スイス大統領の歓迎挨拶に続き、アフガニスタンのカルザイ大統領、IPCCのパチャウリ議長がスピーチ。更に、ライス米国務長官が講演し、それに対しブレアー英元首相、キンシンジャーなど共同副議長がそれぞれコメントして終わる。カルザイ大統領が「テロとの戦いには世界中の努力が不可欠だが、何をおいても、アフガンの人々自身が解決するためのパワーをつけて初めて勝利できるのだ」と、アフガン国民の士気高揚を訴える中に、大統領が国を治めるに当たっての辛い心境を感じた。

 20:30から場所を他のホテルに移り、「京都を超えて:協調は可能か?」とのディナーセッションに参加。日本人では川口順子参議院議員、桜井同友会代表幹事、岡部日経論説主幹や企業からも数人参加。バリ合意を超えて、いかにしてポスト京都議定書の枠組みを構築していくかについて、10人弱のテーブル八つに分かれ、それぞれ夕食を採りながら議論。最後に各テーブルのまとめ役が報告をする。私のテーブルは、スウェーデンの電力会社のCEOの司会の下、ギリシャのセメントメーカー役員、アメリカ人で電気自動車会社を経営する未だ30歳代の若者、カナダの次期中央銀行総裁、そして日立、日産の環境専門家の7人だった。日本人出席者の一人からこっそり聞いたところでは、あるテーブルの日本人同士が「温暖化ガス排出総量規制」導入の是非を巡り大論争になったそうだが、それを聞いていた他の国の参加者達は、些か呆れ気味だったそうだ。日本が世界の動きから取り残されないようにしないといけない。

何とも濃い一日だった。

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