トップ > やすひさの独り言

やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

  • メールマガジン登録・解除
  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー
2008/03/07(金) NO.460号 

気候変動問題をCEOらと真剣に議論(3月7日)

 6日の昼前の便で、成田を発ち、ロンドンに向かう。BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)のヘイワードCEOの提案により、GLOBE・International(地球環境国際議員連盟)が初めて試みる、気候変動問題に関するCEOとの少人数対話に参加するためだ。GLOBE・JAPANからは、谷津会長のご都合がつかず、私一人。日本企業は、東レと三菱電機の各欧州代表が参加する予定。

 昨晩は、まず英国議会下院のテームズ川に面した、温室のようなガラス張りの部屋にてカクテル。モーリーGLOBE会長の出迎えを受け、カクテルで談笑の後、夕食会。CEOが10人、議員が6人、行政から3人、今回特別リポートをまとめたマッキンゼー社から2人など、20人少々が集まる。ハットン経済産業相がゲスト参加し、最初から最後までおられた。

 二日目の今朝は、8:30より16:00まで、BP本社の会議室で議論。まず冒頭、マッキンゼーの担当者から、今回の対話のために作成した報告書(「The Carbon Productivity Challenge---Curbing Climate Change, Sustaining Economic Growth」)に基づいて説明を始める。初めて「炭素生産性」、すなわち炭素一単位でどれだけのGDPを生み出せるか、との概念を発案、これを2050年までに15倍改善しなければならないとの提案から始まる論点整理が行われる。当初は皆黙って聞いていたが、同じくマッキンゼーが昨年編み出した「炭素排出削減コストカーブ」の解説にかかる当たりから、CEOから企業の投資感覚に合わない、などの疑問が呈せられ、激論が始まる。

 結局、午前中は石炭火力から発生する炭素を地中に貯留する技術であるCCS(炭素貯留: carbon capture and storage)の開発における官民協力に議論が集中し、白熱する。現状を見る限り、炭素に価格をつけ、排出量取引を行うだけでは技術開発には不十分ではないか、など政策効果への疑問を含め、予想以上の時間をかける。最大の問題はCCS技術の開発コストが甚大であること、であり、私からは、CCS技術の開発を行っている国々を中心とした国際的な協力体制構築と、石炭火力などでCO2排出をしながら経済成長し、輸出により積み上った中国などの外貨準備の拠出などよる新たな国際的資金協力メカニズムの創設を提案したところ、参加者からは賛否両論の率直な意見を多く頂く。

 午後は、前回の米大統領選の民主党候補だったケリー上院議員もTV会議方式で参加し、エネルギー効率向上などについて議論。バイオ燃料開発で有名なブラジルの石油会社、ペトログラス社のガブリエリCEOなどから税制優遇策等について、現場のニーズに基づいた議論が百出。私からは、アジア・太平洋地区のエコ製品を集大成したカタログ集も示しながら、世界におけるエネルギー効率意識高揚を通じた効率アップ実現の方途などについて提案する。

 結局、CCS、バイオ燃料、建築物からのCO2排出抑制策、政府調達によるCO2排出抑制勧奨など、いくつかの問題について、CEOがそれぞれ論点整理メモを作成し、6月のGLOBE東京総会に報告することとなった。いずれにしても、CEOの現場感覚と政策作成側の思いがぶつかり合う中で、お互いの温度を感じながらの議論が展開されたことは極めて有意義であった。また、英国、フランス、EUの気候変動大使的立場の行政マンたちの考え方もよく分かり、学ぶことの多い対話だった。こうした官民双方の日々の非公式なコミュニケーションの積み重ねを通じて、やがてサミットや閣僚級会合などの表舞台での政治交渉の相場観が形成されていくに違いない。

 夜8時過ぎのヒースロー発の便でニューヨークJFKに飛ぶ。JFK空港には約一時間遅れの午前0時前に到着。先般日本で空港への外資規制が話題となり、その際米国では民営化せずに州政府などが空港管理をしており、安全保障の問題は起きない、という議論があったが、国土交通省が外資による弊害の一つとして指摘していたカートの有料化が、公的管理のJFK空港でも$3で導入されているのを発見。思わず苦笑。

 明日は朝8時発の便でロサンジェルスに向かう。Pacific Council というシンクタンクの招待で、「アジアについて米国が知っておくべき事」とのテーマを頂いて講演をする予定だ。ウィルソン元加州知事、クリストファー元国務長官などが役員に名を連ねる組織の総会を兼ねた「世界における米国:新政権のための政策の方向性」と題した会議で、パキスタンのアジズ前首相や、バーンズ前国務副長官などもゲストスピーカーとして参加するようだ。私も気を引き締め直して、暗い機中で講演原稿にもう一度手を入れる。

【Globe Internationalの様子については、塩崎やすひさHPの「ライブレポート」のコーナーもご覧下さい。
http://www.y-shiozaki.or.jp/livereport/index.php】

バックナンバー

2008/03/09 NO.461号
日本への関心は低くない(3月9日)
2008/03/07 NO.460号
気候変動問題をCEOらと真剣に議論(3月7日)
2008/03/05 NO.459号
暫定税率廃止と地球温暖化(3月5日)
2008/02/01 NO.458号
短く、充実したNY滞在(2月1日)
2008/01/31 NO.457号
言行一致こそ信頼の元(1月31日)