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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2009/09/14(月) NO.546号 

誰のための公教育か(9/14)

 民主党の輿石参議院会長が先日「教員免許更新制度」の廃止に向け、教育職員免許法改正を来年の通常国会に提出する考えを記者会見で示した。これは輿石氏の出身母体である日教組の強い主張に沿った見解であるが、大勝した民主党の「本音」が早くも姿を現してきたのではないかと強く懸念している。選挙期間中、「一部の組織や利益団体のための政治」を声高に批判していたのが民主党であったのも皮肉な話だ。
 
 教員免許更新制度は教員の資質向上を目指して07年に安倍内閣で導入を決めた制度だ。10年ごとに指導法や最新の教育課題について30時間以上の講習を受け、模擬授業など実技を含めた試験を行い、評価を受ける。不合格の場合、2年以内の再講習で合格しないと免許が失効する、という仕組みだ。学力低下、学級崩壊、倫理・道徳観からかけ離れた犯罪などが増加する中で、国民の幸せと国の発展、繁栄を実現する基本は人づくりであり、とりわけ公教育の再生こそ最優先課題、というのが安倍内閣の教育再生の基本的考え方であった。中でも最も重要な要素こそ、教員の質、指導力。我々は多くの抵抗や障害を乗り越え、06年12月の教育基本法成立、ゆとり教育の見直し等に続き、教育3法、すなわち学校教育法、地方教育行政法と並んでこの法案を成立させた。

 変わりゆく世界の中で、逞しく生きる子ども達を育むためには、先生方の指導力にいつも磨きをかけるのは当然だろう。20歳代に教員免許を取得すれば退職まで一生そのまま、という従来の制度がいいと思っている親がどれだけいるだろうか。教員の立場から見ても自らの指導力を定期的に客観見直しし、レベルアップさせるチャンスでもある。指導力不足の教員を教育現場から外す手立てがないまま、教育の劣化を放置することは許されないと判断しての制度導入だった事も忘れてはならない。こうした教育改革路線全体が、いま政権交代を機に存続の危機にさらされている。

 民主党はマニフェストで「教員免許制度を抜本的に見直す」とし、輿石氏はより具体的に、「政府は先生の身分にまで口を出す必要はない」と述べてきた。しかし、これは「先生の身分」の問題ではなく「教育の質の担保」の問題だ。日本の国としての良さと強さを伸ばしていくことは政治の責任であり、そのための大事な政策手段を特定団体の労働条件問題にすり替えるわけにはいかない。「子供のための教育」がいつのまにか「教師のための教育」になってしまってはいけない。

 先の総選挙での民主党圧勝の原因について、あるマスコミの世論調査によれば、「マニフェストへの期待」はたった 10.3% に過ぎず、「自民党政治への不満」が52.2% と過半を占めている。すなわち、国民は民主党のマニフェストの中味より「自民党政治への不満」すなわち「現状への不満と将来への不安」を今回の総選挙での投票を通じて明確に表したに過ぎないともいえる。

 となれば、これから我々自民党は国民と共に民主党の政策をしっかりチェックし、本当に国の将来にプラスになる方向に行くかどうか、厳しく評価していかねばならない。自民党は、単なる「批判政党」に成り下がることなく、「真の政策政党」に生まれ変わり、民主党を中心とする連立政権が国をダメにする政策を導入しようとする場合は体を張って阻止しなければならない。同時に、よい政策をどんどん建設的に提案し、政権に実施を厳しく迫っていくことも重要だ。そのためにも、党改革によって党の体制を改め、新しい知恵と活力を取り込み、これまで以上に国民の声に耳を傾け、国民と共に歩む、という政党の原点に立ち返らねばならない。

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