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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2009/09/21(月) NO.547号 

国家戦略室等の抱える二つの問題点(9月21日)

 暑さ寒さも彼岸まで、というが、昨日は少々肌寒い雲一つない秋晴れの中で動き出す。テレビ愛媛のスタジオに7:45分入りし、「新報道2001」に中継出演。「"脱官僚依存"は実現できるか」とのコーナーで、仙石由人行政刷新相、古川元久国家戦略室長らと議論。鳩山政権が16日にスタートし、政治主導実現のため、「国家戦略室」と「行政刷新会議」を18日に立ち上げた。果たしてこの仕組みで「脱官僚依存」「政治主導」の政策決定ができるかどうか、ということが争点だった。

 「脱官僚依存」という意味では、新政権が目指すところも、安倍内閣が目指した「官邸主導」の政策決定と方向性は大きく異ならないはずで、霞ヶ関との戦いにおいて是非頑張ってもらいたい旨申し上げる。しかし、経済財政諮問会議を廃止し、新たに「国家戦略室」「行政刷新会議」「閣僚委員会」を立ち上げるだけでは、看板の付け替えだけで終わる可能性がある。官房長官としての経験や、その後の公務員制度改革への取り組みを通じて得た教訓に照らしてみると、官僚組織の抵抗を本当に排除するには、二つの大事なポイントがあると思う。

 一つ目は、政策決定課程の透明性を高める事により、官僚組織の抵抗が国民のチェックに晒されるようにすることだ。経済財政諮問会議では、議事録は全て公開だったため、公務員制度改革や社会保障改革、オープンスカイ政策などへの官僚機構の抵抗のロジックは全て国民の前に晒された。が、今回の「国家戦略室」の議論を完全公開する、という話しは未だ聞いていない。これでは結果しか世に明らかにならず、官僚が巧妙に抵抗し、政策を実質骨抜きにしたか否かなどは明らかにならない。「国家戦略室」の議論は全て完全公開することを提案する。

 二つ目は、「脱官僚主導」の要諦は、「幹部人事を握る」ことだ。この点、鳩山総理の人事に対する姿勢は掛け声とは裏腹に官僚組織に気兼ねしている様子が懸念される。かつて鳩山幹事長(当時)は、「局長以上には一旦辞表を出させ、協力する者だけ再任」と言っていたが、やっていない。特に「事務の官房副長官」は旧来通り旧内務官僚(前総務事務次官)を充て、官邸内の実務の要を担う政治任用ポストである「官房副長官補」3人や内閣の実務的スポークスマン役の「広報官」は、自民党政権で政治任用された人材をそのまま留任させている。「脱官僚依存」に本気で取り組む気迫は全く見受けられない。

 幹部人事を握るために最も強力な方策は、これまで我々が中心となって作成してきた「幹部公務員法案」だ。
(HP「政策提言」中、2009.7.17付「幹部国家公務員法案」参照
< http://www.y-shiozaki.or.jp/pdf/contribution/090717.pdf > )。
すなわち、幹部公務員については、現在は厳格な身分保障の対象となっている「一般職」としての位置づけだが、これを「特別職」とし、政権の判断で弾力的に降格・昇格、降給・昇給ができ、人材の入れ替えを可能とすることだ。既に自民党内有志間では議論済みでできあがっているこの法案は、秋の臨時国会に議員立法として提出したいと思っている。

 国民の手に行政も政治も取り戻す、ということは、政治の共通課題だ。私も国会議
員としての原点に立ち返り、引き続き責任を全うしていきたい。