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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2008/07/09(水) NO.472号 

再強化が必要な政権のガバナンス(7月9日)

 12時45分、8人の自民党衆参国会議員(「リゲインの会」の有志)が揃って厚生労働省に舛添大臣を訪ね、「社保庁解体、年金記録問題、高齢者医療に関する申し入れ」(資料:http://www.y-shiozaki.or.jp/contribution/other/080709.html)を手渡し、大臣と20分余り意見交換を行う。申入書通りの内容だが、結論は、@日本年金機構は国民の信頼を失った社保庁からの「看板の掛け替え」に終わらせず、膿を出し切り、悪弊は持ち込まないこと、A年金記録問題は、昨年7月の国民との約束通り、完全解決への道筋を明確にすること、B「後期高齢者医療制度」の早期徹底検証、改善提案を行い、政府・与党は高齢者を大事にすることを明らかにすること、の3点だ。

 これら問題に共通する問題点は、自民党内の議員同士の討議、いわゆる党内「ヒラバの議論」が殆どないままに政府の正式な政策決定が行われてしまっているか、危うく正式決定となる寸前だった、という点だ。自民党によるチェック機能が怪しい。

 社保庁の後継組織である「日本年金機構」の業務運営に関する基本計画は、自然体で行けば先週金曜日に閣議決定されるところであったし、紙台帳とコンピュータ記録との突き合わせを含む年金記録問題への当面の対応方針に至っては、6月27日の「年金記録問題に関する関係閣僚会議」で既に了承されてしまっている。いずれも厚生労働部会での議論を経ておらず、衛藤部会長の判断でやっと昨日部会が開催され、いずれの件に関しても沢山の異論が出され、差し戻し、ということになった。

 日本年金機構に関して最も問題になったのは、年金不信、社保庁解体論の出発点でもある年金記録情報ののぞき見など、社保庁職員の不正行為が原因で懲戒処分を受けた者が有期雇用の末、正規職員への道も開かれていることだった。国民感覚から余りにもかけ離れている。改革の本旨を考えれば、被処分者はいかなる形態であろうとも採用されるべきではないだろう。

 また、既に関係閣僚会議で了承されてしまった年金記録問題の方針に関して一番問題になったのは、8億5000万件の紙台帳とコンピュータ記録との突き合わせに関し、「申請主義」を色濃く残した方針であることだ。すなわち、平成21年度にまず紙台帳をPDF化することは良いことだが、翌22、23年度に申し出される方々に対してのみ突き合わせを実施しようというのが問題だ。全データを、政府が責任をもって突合するしかない。一度閣僚会議で了承されたといえども、国民に誤解をされないようにその内容を修正、明確化すべきではないか。

 昨年7月5日、私は官房長官として年金記録問題の対応パッケージをまとめ、発表し、国民の皆様に「この8億5000万件の突き合わせは計画的に実施し続けます」とお約束をした。そして安倍総理は当時「最後のお一人まで、一円まで、解明できる限り政府の責任において年金をお支払いする」と約束しており、一年も経たないうちにその方針を転換し、手を挙げてくる人だけに応える、という「申請主義」に逆戻りすることは許されない。

 これまでの自民党は、どんな問題でも侃々諤々の党内議論の末に何とか結論にたどり着く、という政策決定における「民主的」プロセスを大事にしてきた。しかしこのところ、現在国民が最も重要だと思っている社保庁改革、年金記録問題、「後期高齢者医療制度」に関してまでも党内での議論が殆どなされない。「後期高齢者医療制度」については私たち有志議員で6月24日に政調会長へ党内議論喚起の申し入れ
(資料:http://www.y-shiozaki.or.jp/contribution/other/080624.html)もしたが未だに「ヒラバ」は開かれていない。自民党、政府とも、政権のガバナンスの再強化が必要ではないか。このままでは国民の心は、政府・与党から離れたままになってしまう。