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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2008/05/01(木) NO.468号 

重度障害児・者に一筋の光明(5月1日)

 昨日の衆議院本会議で、ガソリン税の暫定税率を元に戻す改正租税特別措置法などが、出席議員の三分の二以上の賛成多数で再可決、成立した。憲法第59条に基づく「みなし否決」に基づく再可決は、1952年以来56年ぶりの二例目、という。本来であれば、衆・参両院議長の斡旋による「年度内決着」を通じた国民生活の無用な混乱回避努力が実るべきであった。

 地球温暖化への配慮、国・地方の財源確保から税率は戻されたが、来年度以降はこれまでの道路財源は一般財源となる。医療や福祉、教育、農業などにも税収を充てられる、ということになるのだ。となれば、これまでの「納税者の理解」は「新たな納税者の理解」に作り直し、課税理由などを国民があまねく納得できるよう再整理しなければならない。また、新たな国・地方間の税収配分率も考えねばならない。さらに「真に必要な道路」は、誰がどの財源でどのようにして造るか、など、税制の抜本改革と合わせ、年末までに解決しなければならない政策課題は膨大だ。
 
 少し時間が経ってしまったが、先週21日の月曜日、「愛媛県立子ども療育センター」を松山の隣町、東温市に訪ねた。この施設は、愛媛の重症心身障害児、肢体不自由児のお母さん方が中心となり、重度障害児・者の福祉、医療、保健、教育を総合的に提供するとともに、重度の重複障害児・者などのための総合的支援・相談体制を作ろう、との熱意のこもった運動と、加戸愛媛県知事などの理解の結果できたものだ。私も数年前から全面バックアップ、何度となく知事や県庁の担当部局に検討を直接お願いをしてきたが、昨年4月、オープンした。その際、私は官房長官であったためオープン行事に参加できなかったが、今回、初めて施設を見学し、関係者からのお話も聞くことができた。

 この施設は児童福祉法に基づく児童福祉施設であり、なおかつ医療法に規定する病院でもある。事業としては以下の4種類でスタートしている。(1)整形外科、リハビリテーション科、小児科、小児精神科の診療、(2)肢体不自由児40人、重度心身障害児40人、一般病床10人、合計90人の入所、(3)定員15人の「重症心身障害児通園事業A型」、「障害児等療育支援事業」、「発達障害者支援センター」、ショートステイ10床、相談、啓発活動、など在宅支援、(4)隣接の県立「しげのぶ特別支援学校」のための定員24人の寄宿舎。

 愛媛県では初めての重度障害児・者のための入所を含む本格的総合施設であり、県外の施設に入所していた障害児が戻ってここに入っているケースも多いようだ。また、県内の他の施設や在宅での障害児の生活のレベルアップにも繋がっているという。隣の特別支援学校に通学が可能な子ども達から、人工呼吸器をつけたままの子ども達まで、障害の特性は幅が広い。医師、保健師・看護師、保育士、リハビリの専門家、コーディネーター、事務職員など、様々な職員が連携しながら頑張っておられた。設置のための運動をしている際に、重度障害児のお母さんなどが、どれだけの負荷を負いながら子ども達の生活を守ろうとしているかを知って、県内の障害児・者の環境の遅れを痛感していたが、かなりの前進が図られ、良かったと思う。

 ただ、課題も沢山あるようで、県内の重度障害児・者の数を考えると90床の入所施設では足りないようだ。一方、県の財政逼迫もあってか、定員から見れば、目下の所、医師1人、看護師10人、保育士6人ほど不足しており、職員はてんてこ舞い状態。聞けば、看護師さんなどの募集はしているようだが、専門職ではない一般の臨時職員(22条職員)としての募集のようで、それでは待遇面を理由に来ていただけないだろう。こうした人手不足を緩和や、このセンターの地域への根づきのためにも知恵がありそうだ。東温市には愛大医学部とその付属病院があり、医師、看護師を目指す学生が大勢いるし、民間のリハビリの専門家養成学校もある。こうした学生さんに加え、子育てなどを終えた地域の方々などもおられるわけで、こうした地域の人々が朝晩の繁忙時間帯や土・日などにパートできてもらえばセンターは助かり、一方学生は勉強になり、地域の方々はセンターや重度障害児への理解が深まり、良い効果も期待できる、との考え方もあるようだ。

 また、設置運動の際、ご父兄などがこうした施設に是非備えたかった機能の一つが、様々な重度障害を持つ子供に関するワンストップでの子育て総合相談・コーディネーションだ。従来はどこに行って医療から教育まで総合的な相談をしたら良いか分からず、どの機関に行ってもたらい回しにあう、という状態だった。そのために今回、このセンターにとりあえず「障害児等療育支援事業」「発達障害者支援センター」が設けられ、大きく前進した。しかし聞けば、「支援事業」であるため、働く保健師もコーディネーターも嘱託職員で、交通費手当も超過勤務手当もないまま、一日6時間・週5日(合計週30時間)勤務を行っているようで、これで愛南町から四国中央市まで出向いたりセンターでの相談などをこなすには酷な条件のようだ。せめて、この二つの機能は一緒にし、事業ではなく「療育・発達障害支援室」に格上げし、交通費・超勤手当が出る非常勤職員として頑張ってもらったらどうか、と思った。

 せっかく良いセンターができたのだから、こうした改善を加えていって、他県から見学者が続々押しかけてくるような施設になるよう、私も愛媛県とも話し合っていきたいと思う。

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