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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2009/09/29(火) NO.549号 

それぞれの力を出し切る(9月29日)

 シルバーウィークの大型連休は敬老会のラッシュだったが、先週末は運動会ラッシュ。私の事務所は松山市内のど真ん中の番町校区にある。父の母校の番町小学校は人口減少、少子化で新一年生のクラスが一つできるかどうか、毎年度末に学校関係者がドキドキする時期が長らく続き、ここ数年来、運動会も番町小学校と番町公民館が合同で運動会を開催するようになっている。土曜日は三津の魚市場の朝市で買い物、街頭演説に続いてその運動会に参加。今年も「玉転がし」と「運を天に任せて」の2種類の競技に出場、子ども達と一緒に走る。

 そのまま高浜港へ移動、釣島の小学校・町内合同の運動会に船で向かう。秋晴れの海原は波も静かで、甲板で気持ちの良い海の風を受けながら約20分、島に着く。町内会長さんらが出迎えてくれ、運動会へ。道々、「選挙ではヒヤヒヤしたぜ。でも、この島にはあんたの笑顔が必要なんだ。島を頼むよ!」と言われ、改めて気が引き締まる。ここは柑橘農業とアワビ、たこ、サザエなど漁業の島。人口は約80人、小学生は6人、常駐の先生は2人だ。いつも島中が温かく迎えてくれる。

 挨拶の後、早速リレーに出場し、何年ぶりかで全力疾走。選挙疲れを心配したが、貧血にもならず全く問題なし。歳とともに筋肉痛が翌日ではなく翌々日に来るようになる、というが、早くも夕方には足の筋肉が痛くなってきて、「おっ、俺も若いじゃないか!」などと、なんとなく自信が湧く。

 日曜日もいくつかの運動会に行く。興居島の泊地区運動会では、生まれて初めて「パン食い競争」に出場。一方、愛媛大学教育学部付属特別支援学校の大運動会では、いつもながら頑張る生徒達などから嬉しい感動を頂く。学校に着くと丁度昼食タイム。皆がテントや木陰でお弁当を食べていた。校門を入るや「塩崎やすひささん!元気ですか?!」と、昔なじみの卒業生の何人かがテントの中から大声を飛ばしてくれる。いつも優しい声かけ、ありがとう。

 校長室で先生方と懇談。長妻厚労相による障害者自立支援法廃止問題に話しが及ぶ。たちまち今年度の補助金がストップするのでは、といった作業所や就労施設の現場での混乱が広がっていること、あるいは、せっかく改善を加えて使い勝手を向上させつつあったのに、もう一回ゼロから制度を組み立てることの時間と労力がもったいないこと、などの指摘がどちらからといわず出てくる。

 またつい先日、私が親しい方から、「障害者の親として、実は自民党が作った同法にはかねてから反対だった。その理由は『自立』というが、自分の子どもを含め、多くの障害者は元々自立ができないのに『自立』をいうのはおかしい」と言われ、いささかショックを受けた、という話しをしたところ、「『自立』とは、その人間の能力を精一杯引き出すことを言うのであり、『自活』とは違うのです。ですから、『自立』は支援してでも実現することが大事なので、『自立支援』という言葉は正しいと思いますよ」と言われ、ホッとした。

 運動会の午後の部が始まる。「花の応援団」風に学生服を着た生徒達が、元気よく「エール交換」。皆一生懸命で、まさにそれぞれの力を出し切っていた。それを見ながら先生方から「心配なのは、この生徒達の卒業後の進路なんです」との本音をお聞きする。どうも引き続き就職状況は遅々たる改善しか見られないようだ。「先生、私達自民党有志議員で、昨年の通常国会に国・県・市や独立行政法人などが障害者団体に優先発注する努力義務を課する議員立法『ハート購入法(注)』( URL http://www.y-shiozaki.or.jp/pdf/contribution/080527.pdf )を提出したのですが、民主党が『自立支援法廃止法案の審議入りをしない限り、同法案の審議はしない』と抵抗し、審議入りすらできていないまま、この7月の解散で廃案となってしまったのです。この際、次の国会で我々が改めて同法案を再提案し直したい」と申し上げたところ、「是非そうして欲しい。何しろ子ども達の自立には仕事が必要なのです」と力説された。早速仲間と相談しよう。

(注)「ハート購入法」:「国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に   関する法律案」

 マニフェストで約束したので、自立支援法は廃止、と言わざるを得ないのだろうが、誰が新しい制度を考えても、現行法ととんでもなく異なる制度に辿り着くはずもない。次の制度設計ができるまでには時間がかかるはずだが、障害者の就労を通じた自立支援は待ったなしだ。少しでも障害者の社会参加や所得が増える制度改正はどんどんやっていくべきだ。真っ当な野党として、これまで民主党が理由にもならない理由で滞っていた生活現場に必要な議員立法は、がんがん出していこう。