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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2009/12/01(火) NO.558号 

仕分け対象は、政務三役による概算要求(12月1日)

 今日から師走。早いもので、灼熱の総選挙から丸々3ヶ月経った。しかし、鳩山政権は予想以上に早いタイミングで危惧されてきた様々な本質的問題点を露呈している。

 例えば注目を浴びた「事業仕分け」。ムダ排除の姿勢は大いに歓迎だし、手法としても、自民党でも「ムダ撲滅チーム」の中で河野太郎代議士を中心に仕分け作業を続けていたものを公開したものだ。

 しかし、今回の仕分け結果は、研究費などをドンドン切り、未来のわが国の発展の芽を摘んでしまうのでは、との危機感が募るものとなった。先日会った iPS 細胞研究の第一人者であり次のノーベル賞候補の山中京大教授も、余りの激しい研究費削減に当惑されていた。また意外に知られていないが、自然科学系だけではなく、社会科学系でも同様の研究支援カットが行われている。旧知の商法学者は「反知性主義政権だ!」と憤りを露わにしていた。

 また、この民主党の事業仕分け作業では、事の本質をねじ曲げる狡猾な「問題のすり替え」が行われていた。すなわち、そもそも仕分けの議論の対象となっていた概算要求自体、「政治主導」の看板のもと、官僚を排除して自公政権時代の予算を民主党の新たな「政務三役」が作り直したはずのものだからだ。とすれば、今回テレビで写り、ネットでも中継された仕分け人とのやり取りで、集中砲火を浴びながらしどろもどろ答弁をしていたのは局長クラスなどの官僚達だったが、本来説明答弁は、各省の大臣、副大臣、政務官の「政務三役」が当たるのが筋だったはずだ。なぜなら、廃止等の対象となった事業のムダは、民主党の政務三役が一度は承認したムダにほかならないのだから。結局、今回の事業仕分けの本質は「政治主導」でスリム化したはずの予算に対して、「財務省」が痛烈にダメ出しを行い、その下請けとなった仕分け人が配られた芝居台本を読み上げながら削ったという構図だ。これでは、究極の「官僚依存」と批判されても仕方ない。民主党は、仕分け作業により1.7 兆円の財源を捻出したと胸を張るのではなく、「1.7兆円もの無駄を抱えた概算要求を政務三役で組んでしまいました」と反省するのが筋ではないか。

 報道によれば、鳩山総理の偽装献金の原資は実母からの9億円にものぼる闇資金だったとのこと。事実とすれば、総理自身が約4憶円以上の贈与税を脱税していたとの見方が強まる。「一円たりとも税金の無駄は許さないための作業だ」と息巻いていた行政刷新会議の事業仕分けだが、総理自身がきちんと納税さえしていれば4億円もの財源が国庫に入っていたことになる。判明したら追徴課税、で済まされるなら、指摘されるまでは誰も真面目に納税しないことになるだろう。野党時代に「秘書の罪は国会議員の罪。自分なら議員バッチを外す」と加藤紘一代議士秘書問題の際、繰り返し明言していた鳩山総理。ならば、事業仕分けで見せた分かりやすさで、自らの進退についてもきっちり「仕分け」てみせて頂きたいものだ。

 他方、我々自民党も政権を批判するだけでは国民の信頼を取り戻すことは難しいだろう。「自民党的政治への不満」がまだまだ国民の間で根強い事実を謙虚に受け止め、良いものは取り入れ、そして何よりも自民党自体が本格的に国民が考える良い方向に変貌を遂げつつある、というイメージを発していくことが大事だ。自民党再生への努力、あるべき新しい政治のあり方の提示への努力を続けねばならない。