トップ > やすひさの独り言

やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

  • メールマガジン登録・解除
  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー
2009/11/17(火) NO.557号 

進退が問われる経産相(11月17日)

 本年7〜9月の国内総生産(GDP)が前期比年率+ 4.8% と、前期の+2.7%を上回り、2年半振りの高い伸びを記録した。もっとも、先日視察に行った東京・京浜島の中小企業の業況に見られるように、前年比4〜5割減の売り上げが続く中での上向き傾向にすぎず、雇用面ではこれから厳しさを増す、との極めて厳しい見方が私の地元経営者を含め、経済界の共通認識だろう。先日訪米時に聞いた米国経済の「二番底」の可能性も踏まえ、引き続き注意しながら短期、中長期の対応をしっかり取る必要がある。

 それにしても、昨日直嶋経産相が、GDP速報値を公表30分以上も前に、石油連盟幹部との懇談会で、テレビカメラなど報道陣のいる前で堂々と漏洩する、という前代未聞の事が起きた。ボーダレスな経済の中、世界第2位の経済大国・日本の主要経済指標を、経済・貿易担当大臣が事前に情報漏洩するとは、にわかに信じがたい事態だ。為替市場、株式市場は自国でまだ開いていなくても、24時間、世界のどこかで開いており、その影響は計り知れない。実際私のところにも、ニュースを聞いた米国の知人らからすぐに電話で問い合わせがきた。インサイダー取引の恐れすら感じさせる、極めて不用意、無責任な言動であり、もちろん「解禁時間を知らなかった」では済まされない。当然、内閣として直ちに厳しく処断しなければ、日本の国際的信用が大きく傷つくことになるだろう。鳩山総理の資質が問われる場面だ。

 今回はたまたまその場に記者がいたから明るみに出たものの、国民からすれば、現政権ではしばしば、このような業界団体と政府代表との密室の会合で、不透明な情報交換が行われているのではないか、との疑念をぬぐえないのではないか。日本の統治能力にかかわる重大な問題であり、私が自民党筆頭理事を務める衆議院・経済産業委員会でも、実態を国民に明らかにすべく厳しく問いただしていきたい。