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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2008/12/02(火) NO.497号 

ならば、もう一度「生活対策」の中身を詰めよう(12月2日)

 我々中堅・若手24人の国会議員(「速やかな政策実現を求める有志議員の会」<「速やか議連」>)が提唱した第二次補正予算案の今臨時国会提出は見送られた。そこで提案したい。補正予算は10月30日に公表された「生活対策」の多くを裏付ける予算であるが、振り返ってみればこの「対策」は、解散・総選挙モードで殆どの代議士が選挙区に張り付いている間に、いわゆる「ヒラバ」の議論、すなわち自民党内の大衆討議を経ずに決まったもの。選挙態勢の中でやむを得なかったが、それだけに詰めが不十分で、「定額給付金」や「地方への臨時交付金一兆円」のように後に結果的にブレたととられてしまったものも結構ある。公表後、各部会でそれぞれの部分的事後報告があったようだが、この際、「100年に一度の危機」の姿も徐々に見え始めていることも踏まえ、この対策をもう一回パッケージとして再精査をし、正すべきは正し、足すべき政策は足し、内容をより良いものにする事を提案したい。

 「後期高齢者医療制度」が最たる例だが、このところの自民党は、政府や与党PTに検討を委ねることにより、党内で口角泡を飛ばす、熱き大衆討議をしないことが多過ぎると思う。今日のどこかの新聞のコラムではないが、責任政党として「立ち枯れ」てはいけない。

 「対策」で決められたものの、議論不十分の政策メニューのひとつが、「介護報酬3%アップ」だ。先週の金曜日の朝、党本部で「介護委員会」があり、冒頭田村委員長から「3%アップ」に至る簡単な経緯説明があったが、参加者は「なぜ3%アップなのか?」について得心できていない事は明らかだ。介護福祉の現場で額に汗しておられる方々もそうだろう。例えば、50床の特別養護老人ホームの8割が赤字であることをこれで解消できるのか、との問いに厚労省は応えられなかった。当日の会合で私は、なぜ介護報酬3%アップなのか、これにより介護現場の窮状がどのように、どこまで改善し、介護従事者の報酬がどれだけ改善できるのか、などについての数字的根拠等、改めて議論し直すよう提案し、委員長からそのようにする旨回答を得た。

 また、来年の4月から多くの市町村が介護保険料を引き上げる可能性があるが、年金天引きと口座振替の選択制が導入されるであろう「後期高齢者医療制度」との並びで、8年以上続けてきた年金からの介護保険料天引き問題をどうするか、も議論しなければならない。当委員会で、担当局長は高齢者医療と同様、選択制にする方向性を明らかにしたが、保険制度の運営主体である市町村がどう反応するか、未知数だ。

 これに関し、私がかねてから主張してきた「年金天引きの『見える化』」を当日も改めて提案した。ミニ集会や街頭演説の際、「年金が減っている!」との苛立ちに満ちた指摘を驚くほどしばしば受ける。しかし、実際に年金が減少したことはこれまで殆どなく、基本的に年金額は増加し続けている。にも拘わらず、銀行口座への振込額は、年金から介護保険料や高齢者医療保険料などが天引きされた後の金額一本だけであるため、預金通帳を見る限り、印字されていない天引きされる保険料などが上がれば、あたかも年金が減ったように見えてしまう、という問題があるのだ。

 少子高齢化が進む中、「納得できる政治」の実現こそが益々重要になっており、私は、まず「天引き前の年金額」を通帳に明確に記載し、同時に各種「保険料額」「所得税額」そして「天引き後の受け取り年金額」が通帳上に記載される形で年金振り込みが行われるように法改正をすべき、と唱えてきている。これが「見える化」だ。社会保険庁から現在別途郵送される「年金振り込み通知書」だけでなく、生活の拠り所である預金通帳上でも丁寧な説明を年金受給者にすべきだ。これについて多くの同僚議員達は賛成してくれており、厚労省の幹部らにも引続き理解を求めていきたい。

 そのほかにも、障害者自立支援法見直しに向けた支援拡充策や、出産・子育て支援の拡充策のように、発想は良いものの民主党の「子ども手当」に責任をもって対抗するには、子育て支援策の全体像として不十分であるなど、「生活対策」の中味や関連する政策課題について、議論を重ねてひとつひとつ答えを出さねばならない事が多い。また、党としてのビジョンやマニフェストをかたち作る議論が必要だ。100年に一度の経済危機がそこまで迫っている今日、そしてなによりも総選挙による洗礼を早晩受けなければならないだけに、今こそ政務調査会の本来の機能を発揮し、党としての「国のかたち」を明示すべき時ではないか。