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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2014/03/11(火) NO.788号 

3.11 の教訓を国際的にも活かす

 今日は、東日本大震災3周年。政府主催の追悼式典も開催される。約2万人の犠牲者、行方不明者をもたらした大災害。大自然の前の人間が如何に小さな存在か、しかしその尊厳がいかに大きいかを知る、余りにも重たい悲劇だった。

 しかし、残る私達は、3.11 を境におられなくなられた方々の分をも強く生きなければならない。それも、前代未聞の大災害となったことから学ぶべき教訓はしっかりと学びながらだ。国会事故調査委員会が「人災」と宣告した福島原発事故に関して言えば、廃炉・汚染水処理における責任の取り方などを見ていると、教訓の学び方が全く不十分で、重い課題を負ったままだ。

 発災直後、多くの人々が直ちに緊急救援活動に立ちあがった。自衛隊、消防、警察など、官に属する自律的活動可能な部隊は献身的活動を直ちに展開し、犠牲者の発見と、多くの尊い命の救出に貢献して下さった。海外からも力強い救援活動が行われた。一方、わが国の民間側でも、自律的に活動可能な人々が被災直後から懸命の緊急人道支援活動を行ってくれた。

 数あるそうした活動の代表例の一つが NGO ・政府・経済界の協働組織であるジャパン・プラットフォームの NGO 達だ。この仕組みは、元々コソボ紛争に端を発して外務省、 NGO 、経済界などが協働組織を2000年に立ち上げ、いつ何どき大災害や紛争が海外で起きても国際緊急人道支援に駆けつけられるようにしたものだ。そして第一次安倍内閣当時の中越沖地震からは、このプラットフォームは国内の災害でも立ち上がる事となり、3.11 の翌日から茨城県内のヘリポートと気仙沼との間を、発災以前から契約していたヘリコプターで医薬品など緊急物資のピストン輸送を開始した逞しい NGO もあった。

 実は、東日本大震災後、このプラットフォームを構成する NGO などがリードし、アジア太平洋地域諸国における、同様な NGO ・政府・経済界のプラットフォーム間の連携体(アライアンス)を構築し、一旦緩急あった時には国際 NGO のネットワークによる機動力と迅速性を活用した地域内相互支援の仕組みを作ろう、との動きが起きた。今や日本に加え、インドネシア、フィリピン、スリランカ、韓国などで賛同の輪が広がっている。中心人物は、かつてジャパン・プラットフォームの代表も務めた、ピースウィンズ・ジャパン、シビックフォースなどの NGO の代表でもある大西健丞氏だ。実は昨年7月、私は大西氏、河野太郎代議士らとともに国内プラットフォームがまだ立ちあがっていない韓国に赴き、国会議員や政府関係者等を説得に回っている。

 大西氏らの構想は、この「アジアパシフィック・アライアンス」を新しい形の国際機関とし、域内の市民活動、政府、経済界による緊急人道支援ネットワークを確たるものにしよう、 というもの。わが国では、昨年の早い時期から外務省、財務省とも対話を粘り強く続けてその理解を得、実は既に成立した平成25年度補正予算、および先日衆議院を通過し、遅くとも年度内自然成立が可能となった平成26年度予算の中に、この組織への拠出と活動への助成、合計約3億円が入っている。額こそささやかだが、大きな意味を持つ新たな試みだ。このことは、私が知る限り、マスコミでは取り上げられた事はないと思う。

 明確な事は、わが国が、3.11 から学ぶ教訓を積極的に国際的にも活かし、どこで発生するかは分からない将来の大災害からの被害と心の傷を最小化していく責任を負っていることだ。その一つとして、このアライアンスを責任を持ってしっかり育てていくべきで、私もそのために最大限の努力をする覚悟だ。