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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/05/23(日) NO.593号 

競争政策を初めて正面から議論(5月23日)

 連休明け以降の民主党の国会運営をみていると、普天間や政治とカネ、口蹄疫など問題山積で、ひたすら早く国会を閉じたい、という感じがありあり。先々週は公務員制度改革法案(12日)、地球温暖化関連基本法案(14日)を強行採決。先週の委員会運営でも、何しろ法案を成立させたいだけの要求が続く。

鳩山内閣や民主党の支持率が低下する中、国民の期待に応えるためには、古い自民党や今の民主党に代わってこの国をこうする、というビジョンを示すことだ。だから、衆議院の内閣委員会で45時間にわたり審議した公務員制度改革に関しては、自民党内各方面を説いて参議院でもみんなの党と共同提案の対案を提出、杜撰な法案を通そうとする鳩山内閣のいい加減さをえぐり出し、引き続き私たちの改革ビジョンを示すことになった。また、たった18時間で強行採決されてしまった、これも私が提案者に名を連ねる「低炭素社会作り推進基本法」も同様に参議院に議員立法を出すべき、として動いたが、参議院での人繰りがつかない、との理由で断念せざるを得ず、残念だ。国会運営に戦略性が欲しい。

 一昨日、国会運営上、そして日本の経済政策上、画期的な出来事があった。それは、私が筆頭理事を務める衆議院経済産業委員会において、昨年の臨時国会以来自民党・公明党が要求し続けた「競争政策・独禁法担当大臣の経産委一般質疑への招致」が、国会の歴史で初めて実現したのだ。これを要求するまで、独禁法担当大臣たる官房長官は、独禁法改正の答弁の時しか委員会には出席して来ず、もっぱら公取委員長が国会対応をしてきた。しかし、公取委員長は、所詮法律の執行にあたるだけで、どういう独禁政策、競争政策で経済を運営するかは法律を提案する内閣が決めること。従って競争政策担当大臣が国会で説明するのは当然、と要求し続けていた。

 我々の要求を受け、臨時国会では、担当大臣たる官房長官を一回だけ一般質疑に出す、というところまで民主党は妥協してきていた。引き続き我々は「鳩山政権は、市場原理主義に完全に反対し市場の役割に否定的であるなど、経済政策の基本姿勢を転換する、と主張している。それならば、どういう競争政策、独禁政策、規制改革を含めた経済秩序でこの国の経済を運営するのか、政府としての基本哲学を説明し、議論することが必要だ。いつでも要求があれば委員会の一般質疑に出席すべきだ」と要求、つい一ヶ月ほど前に漸く「いつでも委員会に出る」と言うことになっていた。

 一昨日の委員会では、まず私から「行き過ぎた市場原理主義とは何か?」との問いかけから始まり、枝野内閣府特命担当大臣および直嶋経産大臣の双方に質問。産業政策担当大臣と競争政策担当大臣が並んで答弁するという、初めての構図が国会に設定された。小泉構造改革は市場原理主義だ、日本経済は過当競争の中、競争や市場の圧力が多過ぎる、との批判がよくなされる。しかし、5月18日に公表された経済産業省の「産業構造ビジョン」を見ると、市場の圧力がむしろ不十分なために同一産業内に企業の数が多過ぎ、国内過当競争に疲れ、低収益力のまま国際競争に負けている、との認識が示され、市場原理主義批判が成り立っていないではないか、と問う。

 一方、鳩山内閣の経済政策は「友愛経済政策」と称しているが、郵政改革での改革逆行、バランスを欠いたJAL再建策などを見ると、あらゆる点で公的資金、公的組織、公的政策などを通じた政府関与が多過ぎ、市場での適正、公正な競争の確保がなされておらず、結局本当の意味で持続的成長のできる経済の実現はできないのでは、といった本質論を交わす。それに対して、枝野大臣は、閣内の立場優先から、市場の公正なルール遵守よりも日本郵政の経営再建、JALの再建に重きを置いてしまい、競争政策担当大臣としての役割を十分果たそうとしていない答弁だった。、長年の友人としてはいささか残念だった。彼にはもっと自らの信念を通してもらいたい。