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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/01/10(日) NO.566号 

地域力、生きる力は健在なり(1月10日)

 昨日は、改めて松山の地域力、生きる力を実感する場面に出会い、嬉しくなった。

 松山市の北部に位置する堀江地区の清掃活動を訪れる。公民館前に揃いのオレンジ色のウィンドブレーカーを着たボランティアの方々が三々五々集まってくる。背中には「愛風会」の文字。もう5〜6年の実績を持つ地域ボランティアグループだそうだ。月一回の清掃活動のほか、学校に出向いて子ども達に「しめ縄づくり」や「かかしづく」、将棋や木工を教えたりしているという。登下校時の見守りも行っている。「堀江校区は他の所よりゴミが少なくきれいで、清掃活動をやって来た堀江を誇りに思う」と、参加者が明るい表情でおっしゃっていた。

 今日は、50人余りの小学生も参加、代表の女の子がしっかりした決意表明をし、大人も子どもも一緒に3グループに分かれて清掃活動を行った。

 ここ堀江には「ふるさとほりえ歴史ガルタ」がある。平成20年3月に堀江の公民館、小学校・PTA、まちづくりコミュニティ会議が地域の人達に募集して、歴史・文化を織り込んだ「かるた」を作成したものだ。堀江小学校では、子ども達が年に一回、歴史装束を着けて校庭で歴史物語を演ずるなど、地域への思いと人々の繋がりが深い地だ。

 各地で学校、地域の協働によるさまざまな社会、文化活動が活発化している。地域の自主的な力と、放課後子どもプランや学校支援地域本部事業など、政策的な後押しの力とのコラボが新たなコミュニティづくりに繋がっていくことが期待される。

 次に訪れたのは、空港の南、松山の一番西に位置する垣生地区の中でも海岸沿いの今出(いまづ)地区で、毎年この時期に行われる「ふれあいウオーク」に参加。60人近い地元の皆さんと一緒に「ミニ西国三十三所観音霊場巡り」だ。女性が圧倒的に多い。巡礼後、公民館で七草粥を頂くのが慣例だ。昔ながらの風情をたたえた今出の路地の角かどには観音様をまつった社が作られており、それらをご詠歌を詠いながら訪ねて歩く。 ちりん、ちりんとご詠歌に合わせた鈴の音が心にしみる。

 巡礼の歴史は古い。養老二年(718年)、大和国の長谷寺の開基、徳道上人は、冥土の入り口で、閻魔大王から、罪業ある者が奈良、京都を中心とした三十三か所の観音霊場を巡れば滅罪の功徳があるので、巡礼によって人々を救うように託宣を受けて現世に戻されたという。以来、巡礼が説かれるようになり、11世紀頃から本格的に広まったそうだ。これに因んでいつからか、今出にも三十三か所のミニ霊場が作られ、「西国三十三所観音霊場巡礼」は人々の信仰の場となった。民家の敷地の一部に作られた社には、一つ一つ異なった味わいの、実に良い表情の石の観音様が祭られている。敷地の人が社を守り、花を供えておられ、人々の信仰の深さを感じる。地域の皆さんが、こうして寒風のなかを歩き、祈りを捧げる真剣な姿に心打たれる。

  人々のいろいろな思いを包み、脈々と生き続ける地域の力。こうした地域の活動をしっかりと下支えするのも政治の大切な役割だと思う。みんなで地域を守り、育て、伝える。こうした地域に育つ子どもたちの未来は明るい、と私は信じる。