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2009/12/21(月) NO.561号 

ガソリン税率維持をとりまく論理矛盾(12月21日)

 来年度予算編成に向け、鳩山総理が「暫定税率実質維持」と「子ども手当の所得制限なし」を、迷走の末、決めた。ガソリン税率維持は、総理自ら認めたように重大なマニフェスト違反、国民との契約違反だ。総理は約束通り、責任を取らねばならない。また、子ども手当は、これでわが国財政が一層厳しくなると同時に、他の子育て支援策を強化する財政的余裕がなくなり、子育て支援政策体系全体として、極めてバランスの悪い、そしてコストに見合わない体系となり、重税国家への道を開く、という禍根を残すことになろう。

 今回は特に、民主党のガソリン税に対する姿勢に関して一言述べたい。

 総理は暫定税率実質維持を容認する理由として、「ガソリン価格は低位で安定。国民が地球環境に対して優しい考えを持つようになった」の二点を指摘した。しかし、8月の総選挙時のマニフェストで国民との契約を行ったわけだから、その時のガソリン価格こそが問題で、昨年の高騰時の価格と比較して安定しているかどうかは全く関係ない。ちなみに8月の価格は約126円だったが、その際の選挙戦で民主党の各候補は「我々民主党は2.5兆円の減税を実施し、国民生活を守る。特に車依存の高い地方の国民負担を軽減します!」とマニフェストに則って有権者に訴え、選挙に大勝したはずだ。しかし、12月現在のガソリン価格は8月とほぼ同レベル。低位安定、というならば、8月から既に低位安定していたことになる。8月に国民生活を守るために暫定税率廃止をする必要性がある、と言ったからには現在もその必要性に全く変わりはないはずだ。矛盾している。

 また、地球環境への理解と言うなら、かねてより「環境重視」を標榜して来た民主党、そして現政権であり、とりわけ2020年の排出目標である90年比マイナス25%を公表するからには、「ガソリン価格を政策的に下げることは地球環境に良くない」ということを、早くから総理自らが堂々と強調すべきではなかったか。また、地球環境に言及するなら、「暫定税率に代えて、地球温暖化対策税を同額で直ちに導入させて欲しい」と言った方がずっと分かり易い。

 今回、別の仕組みで上乗せ課税を継続する、というが、どういう課税根拠で、何という「新税」を導入するのか何も明らかにしていない。マニフェストには、「課税根拠を失った暫定税率を廃止して、税制に対する国民の信頼を回復する」とあるのに、形式的に「廃止」し、仕組みを変える、という「新たな仕組み」については全く説明がない。明らかに、財源がないから暫定税率を下げられず、「新たな仕組み」はこれから泥縄で考えよう、というのであろう。これでは「税制への信頼回復」などあり得ない。

 このように今回のガソリン税率維持に関する民主党の理由づけはいずれも明らかに説得力に欠ける。にも拘わらず、鳩山総理はなぜこのような強弁を繰り返すのか。先般の事業仕分けにも共通することだが、どうも今回のガソリン税維持の本当の動機は参院選ではないか。すなわち、まず子ども手当や農業戸別所得補償などの参院選対策になる支出ありきで、その莫大な財源探しのために無理やり理由をこじつけているようにしか見えない。なお、子供手当についてはまたあらためて考えを述べるが、これほど大きな財政手当を伴う政策でありながら、きちんと費用対効果分析を政府が行った形跡は見られない。2万6千円を配ればどれだけ出生率があがると見込んでいるのか、政府の説明を聞いたことがある国民は一人でもいるだろうか。

 日本一の税収を誇る東京都でさえ、「美濃部都政」の3期12年間で福祉、医療の無料化等の大盤振る舞いを無計画にやった結果、厳しい財政逼迫に苦しんだ。日本全体でこのような事が起きれば、取り返しの付かない事になる。一政党の選挙対策のために国益が犠牲になるようなことがあってはならない。そうならないよう、私は警鐘を鳴らし続ける責任を負っている。

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