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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2011/02/28(月) NO.637号 

予算案審議をさらに深めるべし(2月28日)

 先週25日昼、与党側は予算委員長の職権で、今日の予算委員会を立て、平成23年度予算を強硬採決する事を決めた。われわれ野党側は協議の上、今日の朝9時から設定されたテレビ入り集中審議(4時間半)には出席して審議を深めるが、あくまでも今日の採決には反対する意向を固めている。

 そもそも、歳入法案である公債特例法案、税制改正法案、地方税改正法案の審議は財金委員会、総務委員会で始まったばかり。歳入案なき予算案だけを本会議で採決するなどという事は、ありえない。その上、予算審議を深めれば深めるほど、子ども手当の地方負担問題のように政府の考えが「全額国庫負担」とのマニフェストと矛盾していたり、「一括交付金」の配分基準が全く決まっていないまま予算だけは成立させろ、との杜撰な姿勢であったりとする中で、到底採決は早過ぎる。

 さらに先週の24日(木)に一般質疑で、国民年金における専業主婦のいわゆる「運用3号」問題が浮上し、大きな論議を呼んでいる中で、その審議を深めずして予算案の採決をする事は、許されない。質問者の鴨下一郎代議士は、まだ残り15分間の質問時間を留保しており、菅内閣が本問題への統一的結論を出すまで質問続行をしない意向を主張している。中井予算委員長も理解した、と委員会で明言している。男の一言のはずだ。

 配偶者が会社員や公務員である専業主婦の場合、配偶者の年金に含まれ、「第3号被保険者」として保険料を払う必要がないが、その配偶者が個人事業主になったり、離婚したりしたすると、今度は「第1号被保険者」として自ら申請して保険料を払い始めなければならなくなる。しかし、その手続きをせずに「未納」状態を続けてきた人がどうも100万人ほどいるらしく、その救済策が一昨年あたりから問題になっていた。

 長妻厚労大臣は昨年3月、こうした方々は過去2年間にさかのぼって法律通り保険料を支払えば、それ以前の未納期間も支払ったものと同じ扱いとして救済する、との方針を政務三役で決めてしまった。さらに当時副大臣であった細川現厚労大臣は、昨年12月15日、この方針を何と「課長通達」一本で日本年金機構に通知し、本年初から扱いを開始、既に2331件の申請を受け付けている。幸い、いまだ年金を支払ったケースは一件もない、との事だが、本来、法律改正が必要なはずの扱いを、課長通達一本で決めてしまう乱暴なやり方。

 「第1号被保険者」となってまじめに保険料を払ってきた人や、昨年末までに未納が判明し、過去2年分だけさかのぼって払い、それ以前の未納期間に関し、年金減額を容認してしまった人など、まじめに法律を守ってきた人がバカを見るような扱いだ。

 われわれ野党側は、理事会で、来年度予算に関連してこの「運用3号」問題に限った集中審議を提案している。この問題を決着させなければ、2331件の申請の中で、直ちに年金支払いが発生する場合には、皆の支払った保険料からだけでなく、国庫補助率である三分の一、ないしは最近の二分の一に当たる税金が来年度予算から支払われる事になるからだ。そもそも、先週24日、細川厚労大臣は、厚労省の「年金記録回復委員会」の意見と、厚労省の扱いに異を唱えている総務省の「年金業務監視委員会」の見解を求めた後に方針を決定する、と文書で予算委理事会に約束しており、今日の夕方にしか開催されない「年金業務監視委員会」の意見を聞かずして15分間の鴨下質問を実行しようとする事自体も、約束違反だ。

 本日の予算委員会では、9:25分ごろから加藤勝信議員がこの問題について、テレビ中継もされる中、徹底的に追求する。
 ある意味、年金不安を煽る事で政権を獲得した民主党だが、「最低保障年金」も「年金の一元化」も殆ど放棄する事になりつつある事に加え、年金記録問題でもある今回の「運用3号」問題での破たんぶりなど、年金問題に関し、全く無責任な政党になり下がってしまった。