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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/02/05(金) NO.571号 

説明責任は政治家にあり(2月5日)

 昨日、小沢一郎民主党幹事長が嫌疑不十分で不起訴処分となった。多くの国民は納得できていないはずだし、新聞各紙とも社説で同氏の政治責任の重大さを一斉に強く指摘している。また、小沢幹事長を刑事告発していた市民団体は検察審査会に審査の申し立てをするようだ。

 政治家には重い説明責任があり、与党の幹事長はなおさらだ。小沢氏は、自らの政治資金報告において21億6900万円もの多額の虚偽記載が明らかになっている限り、国会での証人喚問に応じ、資金の出所を含め、きっちり説明すべきであり、説明がつかないなら、責任を取るべきだ。そもそも自分の秘書三人が逮捕された事だけでも、議員辞職に値する。加藤紘一元自民党幹事長は自らの秘書が一人逮捕された際、潔く一旦議員辞職された。

 それだけ重大な問題が政権中枢で起き、昨日その区切りを迎えているのに、今日から予定通り衆議院予算委員会が淡々と開かれている。極めて異様だ。自民党はいささか与党ボケではないか。もちろん、自浄機能の全く働かない民主党からは、けじめ論は殆ど聞こえてこない。日本政治全体の民主主義の熟度が問われる。

 それにしても、政治資金収支報告書に関し、鳩山首相、小沢幹事長、そして最近は閣僚の何人かまで、秘書に任せっきりで、自分の報告書を見たことがないことを公言するのに驚く。確かに政治資金規正法では、報告書の提出義務は会計責任者にある。しかし、法的に責任がないといっても、たった一人しかいない政治家の政治資金収支報告書だ。本人が知らないで済む、という発想は国民を愚弄している。政治責任の問題だ。現行法制では「会計責任者の選任および監督について相当の注意を怠った時は50万円以下の罰金」となっており、「選任」と「監督」双方において「相当の注意を怠る」事はそうそうない。だからこそ政治家は、しばしば会計責任者に責任をなすりつけ、自分は知らなかったと逃げ回るのだ。いかがなものか。政治資金規正法の枠組自体を見直すべきではないか。

 私は自民党企業会計小委員長時代、エンロン事件を契機に米国同様、日本の企業の会計報告においても、CEOは財務諸表が適正であることを確認する署名を行うよう、法改正を行った。要は、代表取締役は経理部長などに責任をなすりつけず、自らが会計報告に責任を持つ、ということであり、政治家も自らの収支報告に責任を持つ法的枠組にしても全くおかしくないはずだ。議論を深めたい。