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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/02/19(金) NO.575号 

子ども手当より保育園整備が先だ(2月19日)

 朝10時過ぎ、二男のお嫁さんから妻と私の携帯に喜びのメールが来る。昨年4月に生まれた二男夫婦の長女・彩代(さよ)を預かってもらう保育園の空き待ちに関し、申し込んでいた目黒区の保育園のうち、第一希望であった自宅に近い保育園になんとか内定した、というのだ。「結果を聞いて涙が出たよ。苦労が報われて、本当に良かった!給食もあるので、4月からは離乳食のお弁当を作らなくても良くなる」と、喜びの絵文字一杯メールだった。

 実はうちのお嫁さん、昨年夏前から12月の産休明け、職場復帰に備えて保育園を探していたが、住んでいる目黒区には全く空きなし。4,065グラムのジャンボベビーで生まれた塩崎家37年振りの女の子である彩代が「待機児童」になってしまっていたのだ。託児所や無認可保育園も八方手を尽くして探すが、すべて空振り。結局唯一受け入れ可能だったのは目黒区の隣の港区の無認可保育園のみ。しかし、保育料や交通費を足し合わせると、何とお嫁さんの給料が全部なくなるくらいだという。

 おそらく、こんな高価な保育負担はまだ若い二人ではとても無理で、職場復帰を延ばすのかな、と密かに私は思っていたが、うちのお嫁さん、予定通り12月からこの無認可保育園に彩代を通わせ始め、職場復帰をした。この4月までの4ヶ月間だけ歯を食いしばって頑張り、新年度からの目黒区の保育園に入れることに賭ける、ということにしたのだ。おそらく、産休を延ばせば、職場での立場にもいろいろ影響するのだろう。

 しかし、「空き待ち待機児童」の数は相当なもののようで、4月からうまく目黒区の保育園に入れる保証は全くない、と言っていた。また「仮に入れても、自宅から遠い保育園だったらどうしよう。一度入ってしまうと、自宅に近い保育園には移れなくなるかも知れない。就学までの数年間、歩いて送り迎えできるのと、満員電車に乗せて送り迎えしないといけないのとでは、大違い」と、本当に心配し、空き待ちの順番を決める自分の「持ち点」を何度も何度も計算し直していた。「たった4ヶ月だけど、されど4ヶ月の長い道のりでした。後もうちょっと、頑張ります!」とは、本音だろう。希望通り、自宅近くの保育園に入れて、本当によかった。

 こうした若いながらも自分たちでがんばっている共稼ぎ夫婦は年々増えており、例え子ども手当を毎月26,000円もらったとしても、受け皿となる保育園がなければ働こうとするお母さんの願いは満たされない。また、お母さんが働くことを諦めれば父親の収入だけでは生活はかなり苦しい。それでは二人目の子供を作ることを躊躇するかも知れない。ならば、まずは保育園の整備が先ではないか。政府の試算では、約1兆円あれば概ね整備可能だし、これこそが緊急に、必ず必要な子育て支援策なのだ。確かに、鳩山政権は1月29日に保育園整備を含めて、「子ども・子育てビジョン」を閣議決定している。しかしこれはおそらく実行不可能だろう。なぜならば、安易に国民に約束した子ども手当のうち、来年度分の財源調達すら四苦八苦で、平成23年度に26,000円へ引き上げる事は無理だ、と野田財務副大臣がつい言ってしまうほど財政的見通しは全く立っていないからだ。

 保育園や放課後児童クラブの整備のように、間違いなく必要な子育て支援策を後回しにして、選挙向けのバラマキで、子育て支援効果も極めて怪しい子ども手当に毎年5兆4000億円も費やせば、そのツケは必ず子ども達に重たく回される事を、我々政治家はもっと国民に理解してもらわねばならない。