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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/05/06(木) NO.590号 

がんばれ、菅ちゃん!(5月6日)

 連休を利用して、松山市出身で20年来の親しい友人、菅宣好氏が経営する海産物加工工場をベトナム・ニャチャンに訪ねる。前回はホーチミン市内の事務所からモニターテレビで工場を見るだけだったが、今回は工場そのものを見せて頂く。菅氏は労働金庫勤務の後、松山市内の酒小売店の二代目として頑張っていた。そして、1990年頃からベトナムの海産物を日本に輸入し始め、95年に「さくらフードカンパニー」をベトナムに設立。96年からニャチャンの工場が操業を始め、結婚披露宴など慶事に使われる「尾頭付き鯛」を中心に、ベトナム産魚類を日本に輸出していた。

 その後日本の市場ニーズも変化した。それに対応するためにいろいろ試み、数年前から日本のファンドからの出資を受けながら新しいビジネスモデルを模索し始める。ある日、菅氏の能力に注目したノルウェーのサーモン養殖業者リロイ社が商談を持ち込み、以来本格的な取引を始め、ノルウェー産のサーモンを日本の回転寿司、ファミリーレストランなど向けにベトナムで加工して輸出し、今や会社の売り上げ約4億円のうち7割がサーモンが占めるに至っている。

 米国FDA設備登録やEUのHACCP認証を取得するだけあって、衛生管理は驚くほど厳しい。見学者用の服装・マスク・帽子・長靴に着替え、工場内に入る。圧巻は回転寿司向けのサーモンの寿司種製造室。熟練女性工員が半冷凍のノルウェー産サーモンを、一切れ一切れ、目分量で10グラムに切っていく。サーモンの切り身の形に切られた一切れの形状は皆微妙に異なるが、ときおり目の前の秤で重量検査をすると、ほとんど誤差なく10グラム。20切れを13グラムの発泡スチロールのトレイに乗せてすべて計量するが、これまた規定の213グラムをせいぜい1グラム上回るだけの誤差だ。すごい!

 約300人いる工員の中でも成績優良な女性のみがこの部屋で働けるそうだ。男性はあり得ない、とのこと。「4時間作業、45分間休憩」というきつい作業を一日に3クールこなし、月給は他の工員よりだいぶ良い約1万円。皆、立ったまま真剣なまなざしで働いているが、最近は報酬を少し上げる程度ではこうした働き手もなかなかニャチャン周辺では集まらなくなってきた、という。いずこも経済発展とともに、働く人々の思いは変わっていくものだ。

 輸出先も日本、中国、香港、韓国に加え、最近は米国にも拡大するとともに、今年は日本での新たな納入先も固まり、売り上げを増やせそうだ、と菅氏。東京事務所を置き、市場開拓力を強化するとともに、工場設備に関してはコストダウンを徹底、経営力強化を図っている。例えば大型冷凍装置も、心臓部分こそ日本製を使うが、他の部分はベトナム製の機械を使い、全体では7割ほどコスト節約をするなど、決して妥協しない。一方で、社員を大事にし、心配りを怠らない。今回、以前ホーチミンで私が会い、今はニャチャンでホテル経営で大きな成功を収めている男性を夕食に呼んでくれ、懐かしの再会をさせてくれるなど、「卒業生」もしっかり育てている。

 温かく、しかし飽くなき挑戦をする、見習うべきビジネスモデルを見せて頂いた。がんばれ、菅ちゃん!

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