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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/06/09(水) NO.597号 

新内閣も本質的問題は不変(6月9日)

 今回の参院選では、民主党による8ヶ月余りの政権運営を総括し、マニフェストと現実の政治とのギャップなどを踏まえ、ここは一度立ち止まって冷静に日本の将来をどうするか、改めて考え直すチャンスとすべきだった。しかしこのままでは、どうもそうはなりそうもない。鳩山前総理が退陣表明をしてからまだ一週間しか経っていないにもかかわらず、国民を巻き込んだまともな代表選挙も経ずに菅新内閣が昨晩スタート、支持率が急回復だ。「小沢外し」や「若手登用」など、看板を替えたことにより、期待感は高まっているのだろう。しかし、明らかなことは、鳩山前総理と小沢前幹事長が辞任せざるをえなくなった理由、すなわち政権の抱える様々な問題の本質は全く変わっておらず、日本の経済、財政、社会保障、外交、教育などは政権発足以降、さらに危機をはらむようになっていることだ。

 度重なるマニフェスト違反、沖縄県民への裏切り、日米関係最悪化を含めた外交的孤立、経済・財政の深刻化、政治とカネ問題による政治不信の深まりなど、国民は鳩山前内閣を通じて、国家の土台の揺らぎを敏感に感じとり、政権発足当初の期待は失望に変わっていた。新代表を選ぶにあたって、新たな国家ビジョンやその実現に向けた新たな具体的政策が明らかになったか?何も変わっていない。

 それどころか、菅新代表は首班指名に先立ち、国民新党との間で新たな連立合意書を交わし、衆議院でたった6時間の審議で強行採決した郵政法案の速やかな成立を期すことを約束、新聞全紙が社説で反対した内容の法案を前内閣同様進めていくことを引き継いでしまった。こうした郵政改革逆行の動きに対し、今日、われわれ自民党、公明党、みんなの党の有志は「郵政民営化後退を阻止する議員の会」を11日(金)の11:30から都市センターホテルにて急遽開催することを呼びかけた。

 いずれにしても菅代表は、10分間程度の所信表明、そして国会議員だけの投票で選ばれたため、その国家ビジョンや基本的姿勢について、広く党内外の政策的吟味を経て選ばれていない。そう遠くなく再び政権運営は迷走状態に陥る、と予想せざるを得ない。