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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/08/17(火) NO.611号 

公務員制度改革の本家を取り戻せ(8月17日)

 参院選で「ねじれ」が出現して以来、あたかも「公務員制度改革はみんなの党の専売特許」と言わんばかりの報道ぶりだ。また、民主党も「みんなの党とは公務員改革において同じ方向性」などと喧伝し、新たな連立や「部分連合」を模索している。今日の新聞を見ると、政府・民主党は、国家公務員法改正案の秋の臨時国会提出を見送り、与野党協議を優先するようだ。その「野党」には、主にみんなの党を想定しているはずだ。現状の報道は不正確、民主党の思惑は外れるだろう。

 まず、先の通常国会に「自民・みんな」で共同提案した公務員制度改革法案が、あたかもみんなの党の案を自民党が飲んだかのように報道される。だが実は法案の大半は、既に昨年の通常国会中に自民党内でわれわれが作成済みで、私のホームページに掲載し続けてきたものだ。今回、みんなの党からは「事務次官級ポストの廃止」の一点を加えて欲しい、との要望があり、党内は大勢が反対だったが、法律の条文を工夫することで、自民党もそれを受け入れた。ちなみに、衆議院内閣委員会での答弁は、ほとんどは提案者の私か他の自民党同僚議員が対応。みんなの党の議員による答弁は、事務次官級ポスト廃止に限られることが多かった。

 さらに、自民党もみんなの党も、組合に振り回される民主党の公務員改革に臨む姿勢とは相容れない。菅内閣になって閣議決定した退職管理基本方針を見ても、「現役出向」や「専門スタッフ職」の導入などにより、事実上「天下り根絶」を放棄し、公務員擁護をする豹変振りでは、自民党はもちろん、みんなの党も民主党とは公務員改革で組める訳もない。にもかかわらず、民主党がみんなの党に秋波をおくるが、これは自民党・みんなの党の分断作戦だ。

 そもそも橋本総理以来、政府内、自民党内で並行して議論を煮詰め、私も積極的に意見発信をしてきた公務員制度改革。戦後日本の「官僚支配、社会主義国家」を変えない限り、新時代における日本復活はあり得ない。

 この改革がやっと本格的に動き出したのは安倍総理の決断によるものだった。このことは06年末の補充人事で安倍総理から行革相を命じられた渡辺氏自身、忘れてはいないはずだ。その4ヶ月後、総理のぶれない後ろ盾の下、改革官僚とも連携して閣内をまとめた。結果、公務員制度改革の基本方針を閣議決定、国家公務員法改正法案を提出した。そして、あえて会期延長までして国家公務員法改正法案を成立させたことで、初めて公務員制度改革は転がりだしたのだ。その後、渡辺行革相が閣内で孤立しても自民党内改革派の応援に支えられて基本法が成立、それに基づき内閣人事局などを含む昨年(麻生内閣)、 今年(鳩山内閣)の改正法案提出に至っている。

 参院選での自民党マニフェストには、通常国会に提出した法案に沿った公約を掲げている。給与を民間並みの体系にすること、天下りヤミ斡旋への刑事罰導入、いくつかの省庁に分散している人事関連部署の集約、等、今の報道ベースでは「みんなの党の提案」となっている事項は、すべて自民党の公約に書き込まれているのだ。

 さらに自民党は、国家公務員の約4倍、約240万人弱の人数がおり、いまだに「能力実績主義」すら導入されておらず、年功序列人事が行われている地方公務員の制度改革に踏み込むことも公約している。私は既に、安倍内閣で法案提出をしながら廃案となってしまった地方公務員法改正法案をベースに、先の国会に出した国家公務員法改正法案同様、給与体系を早急に民間並みに改めることを明記した議員立法を用意している。秋の臨時国会に提出すべく、自民党内をまとめ、みんなの党とも相談をして、連携するつもりだ。

 日本の国の形を政治が意図的に変えられるのは、公務部分だ。民主党は、「組合主導、官僚主導の大きな政府」を目指すことがこの一年間で明らかになった。自民党が、参院選の結果を踏まえて、今やるべきことは、「真の政治主導、国益を重んじる、身軽で元気な国家」のビジョンを改めて提案し直すことだ。基本は公務員制度改革であり、その改革の本家は自民党だ、ということが明確に国民に伝わるよう、マニフェストどおりにことを進めねばならない。