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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/06/24(木) NO.600号 

産業構造大転換こそ待ったなし(6月24日)

 今日から参院選。いざ、出陣だ。朝一番で山本順三候補と一緒に会社朝礼。その後椿神社で必勝祈願祭、続いて松山市駅前で出陣式を行う。任期満了を待たず、この秋に引退される予定の加戸知事が、私の昨年の総選挙応援演説同様、かなり力のこもった激励の挨拶をしてくださった。ありがたかった。

 私からは、次のような趣旨の話を強調させていただいた。

 鳩山内閣当時、国民は民主党政権の政策では国家の土台や背骨が大きくぐらつき、日本が危ない、と思うようになったから支持率が急落し、退陣せざるを得なくなった。その本質は、菅総理になっても変わらない。「元気な日本を復活させる」とか、「強い経済、強い財政、強い社会保障」などと、もっともらしいことをいうようになった。しかし、成長戦略も財政再建も、バラマキ政策や郵政改悪などを続けているうちは唱える資格もない。もちろん、バラマキ政策のツケを消費税アップという形で国民に回す、などということは許されない。また、地方経済への目配りも極めて乏しく、元気な経済、すなわち生活水準の向上は菅内閣のもとでも実現しないことが早晩分かってくるはずだ。だからこそ自民党は民主党政権の批判に止まらず、独自の、明確なビジョンを打ち出していかねばならない。

 一昨日、松山空港滑走路南に広がる南吉田工業団地の企業を回って、やはり日本の産業経済構造の大転換こそ待ったなしだ、という思いを深めた。改めて私がとりまとめた自民党成長戦略「日本フェニックス戦略」で示した政策を早急に断行しなければならない、と確信した。

 足下の経済は循環的にやや持ち直しているが、それはもっぱら中国など新興国向け輸出増によるもので、その恩恵にあずかっているのは南吉田工業団地でもごく一部だ。むしろ、グローバリゼーションという構造的問題による松山経済へのダメージはさらに進んでいる感じだ。この団地の企業には帝人、三菱化学、ダイソーなどの松山工場の協力会社が多い。こうした大企業の海外シフトは進んでいるが、地場の下請け企業はそれについて行けない。また従業員の高齢化、若手人材の枯渇もあって、技術継承すらおぼつかない、という。要は、大企業のみV字回復している一方、中小下請けは疲弊し続け、廃業も増えている、という状況だ。

 そこに持ってきてこの春から始まった帝人・松山工場のポリエステル生産のタイへの移転の影響も加わって、団地内の企業経営は厳しさを増している。ある企業で、「塩崎さん、これを見てよ」と一枚の紙を渡される。「企業各位へ  突然ですが、40年間団地の売店としてご愛顧頂きました店舗を、6月で廃業する運びとなりました。皆様方には感謝し、お礼を申し上げます。企業各位のご発展を心より願っております。 売店主」との女性店主の直筆の手紙だった。

 同じ経営者から「塩崎さん、最近の松山の飲み屋街で、ある時間になると急に増え、ある時間が来るとごっそりなくなるものがあるが、何か知っていますか?」と聞かれる。何かと思えば、自転車だそうだ。夜の町で働く女性達も、もはやタクシーには乗らず、自転車で通う人が圧倒的に多くなっている、という。これまでにはなかったことだ。それだけ松山経済も厳しさが増しているのだ。これは全国で起きていることなのだろう。

 日本経済が勝ち組に踏みとどまり、雇用も所得も増えるようになるには、日本経済・産業の大転換を図る総合的な成長戦略の早期断行がいよいよ必要で、その実現なくして日本の将来はない。時間は限られている。だから、私たちの成長戦略の副題は「決断と実行の3年間」なのだ。民主党政権のように、10年かけて何とかしよう、では間に合わない。