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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2011/10/29(土) NO.682号 

危機感足りない国会のサイバーテロ対策

 今週、多くの皆様に支えられて無事終えることができた大阪での「明日を語る会」から帰京して直ぐ、衆議院内の事件が多くのメディアを賑わした。衆議院のネットサーバがウイルスに感染し、全国会議員のIDやパスワードが外部に流出した可能性があるというのだ。

 報道等によれば、7月25日に、ウイルス付メールがある衆議院議員3名の事務所に送られ、うち1名の事務所がそのファイルを開いてしまい、事務所のパソコンが感染した。その後ウイルスはそのパソコンを伝って衆議院のネットサーバに侵入し、全衆議院議員のIDやパスワードの情報を盗んで、外部サイトに発信したとのことだ。

 こうした、感染したパソコンを破壊するのではなく、潜在して他のウイルスの侵入経路を開いたり、情報を漏出したりするウイルスのことを、「トロイの木馬」型ウイルスという。ネットワーク管理を委託されていたNTT東日本が8月29日、サーバーへの不正アクセスの形跡に気づき、調査していたとのことだが、最終的に感染疑いがあるとされたパソコンやサーバーは30台以上に上り、事態の深刻さを物語っている。
 
 ウイルス感染やハッキング等のサイバーテロも恐ろしいが、もっと怖いのは、衆議院の対応ぶりである。7月に議員事務所を端緒に衆議院のネットワークが感染・攻撃された事実を、何故隠ぺいし続けたのか。10月に一部メディアで報道され露見するに至って、ようやく10月25日、衆議院事務局は議院運営委員会庶務小委員会の開催を要請し、被害の規模等について調査中との報告を議院運営委員会の議員らにした。この3ヶ月間、国会議員や事務所に対して注意・警告は何ら行われず、サイバー攻撃にさらされ続けていた全議員の事務所は、無知識、無防備のまま、平常通りに過ごしていた。

 衆議院のイントラ(内部)ネットワークでは、議員に割り振られたIDやパスワードで、会館内の施設の登録や全議員のメールアドレスの検索等ができる。悪用すれば、全会議室を架空の予約で埋めてしまい議員同士の打ち合わせを妨害することもできるし、全議員に攻撃メールを送ることもできる。

 国会原発事故調査委員会でも、歴史上初めて、国会の事務局が主体となって、政府と対峙し、霞が関に頼らない知見と人材によって原因究明等を行なうこととなった。能力は高いものの危機意識や当事者意識に欠けるとされてきた国会事務局の実力が、今まさに試されている。

 「国権の最高機関」たる国会の正統性は、そのまま民主主義の正統性にもつながる。サイバーテロ対策も事故調査委員会もともに奮起するよう、国会職員の頑張りに期待したい。