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2010/10/21(木) NO.620号 

今こそ外交安保の司令塔、日本版NSCを(10月21日)

 尖閣列島問題での中国との駆け引きにおける菅内閣の失敗、迷走ぶりを見るにつけ、外交・安保に関する官邸の司令塔機能がまったく機能不全に陥っていることが判明した。官邸、外務省、海上保安庁、検察が尖閣問題対応の責任を押し付けあい、省庁間の政策調整や政治的リーダーシップがまったく発揮されなかったことをむしろ誇らしげにそれぞれ強調している。共産党上層部の政治決断に従って、外交、通商、公安、観光など国家全体で政策総動員をかけた中国側の強固な対応との落差は著しい。組織的なサポートもなく、あたかも官房長官一人の気まぐれにこれほど重大な外交戦略を委ねざるを得ないかのような統治システムの脆弱性をさらけ出した日本。今こそ、外交・安保政策の総合司令塔機能、すなわち日本版国家安全保障会議(NSC)設置の必要性を再度真剣に議論すべきときである。

 振り返れば、民主党は、選挙前から「政治主導」を標榜してきたが、政権交代後一年経った現在でも、法律で定め、形になったものは、いまだに何もない。国家戦略局にしても、先の通常国会にその制定を定めた政治主導確立法案を提出したものの、その後二転三転、昨日の新聞報道によれば、「内閣総理大臣決定」により昨年9月に設置された国家戦略室を再編、法的権限のない「総合調整」部門と、首相への政策提言部門の2本立てにするらしい。法的権限のない国家戦略相による総合調整は、「陰の総理」たる仙谷官房長官との利害衝突もあって、紆余曲折をたどろう。

 むしろ歴史的に見れば、政治主導や官邸主導はよほど自民党政権の方が積極的に取り組んできた。橋本内閣による経済財政諮問会議導入は、予算方針の基本方針制定を財務省から官邸に移し、また各種小泉構造改革のエンジンとなった。続く安倍内閣でも、同会議が道路財源改革や羽田空港の国際化などアジアゲートウェイ関連政策、金融改革の牽引車となり、民主党政権が言う「閣僚委員会」類似の仕組みも、環境4大臣会合、海外経済協力会議などにおいて、現実的に政治主導の答えを出し続けた。

 あと一息で安倍内閣の大きな成果となるはずであった政治主導の最たる例が、「日本版NSC」(国家安全保障会議)構想だ。小池百合子首相補佐官(当時)を中心に、石原信雄元自治事務次官を座長とする「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」との検討会議を立ち上げ、その報告書に基づき2007年春、首相官邸に日本版NSC(国家安全保障会議)を新たに立ち上げる法案を衆議院に提出した。残念ながら、議論されるはずだった内閣委員会では、継続審議扱いとなってしまったが、自民党政権として官邸主導の姿勢を明確にした法案だった。

 先週の参議院予算委員会において自民党の猪口邦子議員が菅総理に日本版NSC設置構想について尋ねたところ「魅力的な提案だ。前向きにとらえていきたい」と、将来の設置の可能性を示した。記者に聞くと、「安倍内閣の法案とさして変わらない法案を菅内閣は出すかもしれませんよ」という。節操も何もなさそうだ。

 菅内閣が法案を出すまでもなく、既に詰め切った法案がある。早速小池百合子自民党総務会長に電話をし、「早急に自民党から議員立法として同法案を提出してはどうか」と、提案、小池代議士からも早急に検討する旨の回答を得た。現状の仙谷官房長官主導の国家意思決定の仕組みは余りにも不透明かつ不安定で、国益を失い続けている。今こそ自民党は、政治主導、官邸主導による国益実現のための独自の仕組みを世に問うべきだ。

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