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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/10/06(水) NO.618号 

「立ち話」では「主張する外交」はできない(10月6日)

 先週9月30日(木)、閉会中の国会で、尖閣諸島を巡る問題に関する集中審議が衆議院予算委員会で行われ、私も質問に立った。ことは、中国漁船が領海を侵犯、海上保安庁の巡視船に体当たりする、という明らかな公務執行妨害を犯した中国人船長を逮捕、勾留し、勾留延長までしながら、中国の圧力に屈して突然、検察が「我が国の国民への影響と、今後の日中関係を考慮した」結果、処分保留のまま船長を釈放したものだ。日本外交上最大級の判断ミスだろう。

 委員会審議を通じても、政府は釈放するとの判断は、あくまでも検察が国内法に基づいて行ったもので「政治介入」はない、と言い張り続けた。私は、官房長官としての経験から、そのようなことはあり得ず、仙谷官房長官が外務省、法務省、海上保安庁などと協議の結果決めているはずだ、と主張。あくまでも検察の判断だと言うなら、「民主党政権は外交を検察に任せる珍しい政権だ」と指摘した。国家の司令塔として、官邸こそが国益実現のため、責任を持って総合判断をするのは当たり前だ。

 先週金曜日に臨時国会が始まったが、菅総理は、当初行かないと言っていたベルギーでのASEM首脳会合に、尖閣問題が起きるや、一転出席を決め、所信に対する代表質問、予算委員会審議は丸二日間、後ずれしてしまった。ほとぼりが少しでも冷めるのを期待してのことだろう。できれば現地で日中首脳会談を開催して問題解決への端緒を開きたい、とも思ったはずだが、それも事前に決まらずだった。

 昨日朝、日中首脳が会談、とのニュースが流れたが、午後、自民党外交部会の会合に出てきた外務省資料には、なんと「日中首脳立ち話(概要)」と書いてある。「立ち話」程度か。しかも、中国側は、日本語通訳を用意していた一方、日本側は中国語通訳を用意しておらず、両首脳の発言が正確にやりとりされたかどうかの確証もない、という。国益を守る基本姿勢に大いに問題あり、だ。

 さらに、会談内容に関しても外務省ペーパーでは「双方は、尖閣諸島を巡る問題につき互いの立場を述べ合う」との記述だけだ。我々の質問に対し、外務省事務方は、菅総理が尖閣諸島が日本固有の領土であることをきちんと主張したかどうか、さらにいまだに身柄を拘束されているフジタの職員の解放を要求したかどうかなど、菅総理の具体的発言内容は明らかにできない、と言い張る。不甲斐ないだけでなく、不思議だ。席上、同時に配られた中国外交部のホームページ資料では、「温家宝は釣魚島(ママ)が中国固有の領土であることを重ねて表明した」などと、中国首相の主張は一人称の表現で堂々と明らかにされている。現政権は、「主張する外交」をやる気は全くないどころか、今回の「日中首脳会談」を契機に、今回の事件を水に流し、2国間関係修復のみに力を入れていくのではないか、と危惧する。

 外務省事務方が、明らかに日本政府のおかしな対応の詳細をなぜ隠すのか。おそらく外務官僚も、数々の不本意な政策対応や発言を政務三役や官邸から無理強いされているのではないか。普天間基地の移設問題以来、事務方の意見も聞かずにぶれまくる政権に振り回されている外務官僚には同情を禁じ得ない。しかし、国益を失い続けるわけにはいかない。今日から始まる代表質問、来週からの予算委員会で、しっかり民主党政権の問題点を追及し、国の進むべき道を示していかねばならない。

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