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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2011/11/22(火) NO.687号 

地に足を付けた丁寧な取り組みを

 一昨日、20日(日)から野田政権最初の仕分け作業である「提言型政策仕分け」が始まった。オープンに議論し、自民党時代には議題になりにくかった問題についても議論する姿勢は、評価する。しかし、全体としては相変わらず「見栄え先行」で、議論の順番や検討対象には大いに問題ありだ。

 例えば、なぜ政府、民間、そしてこれからスタートする国会での原発事故調査の結論を踏まえて、事故原因などをしっかり踏まえたエネルギー政策全体の見直しを示し、基本的方向が定まった上で原子力政策の抜本見直し議論をしないのか。

 民主党の農業政策の中心である戸別所得補償制度についても、目下見直し検討中なので、仕分け対象にしないと言うのはおかしい。ましてやTPP交渉参加の方向性を示した以上、目玉政策である戸別所得補償制度こそ徹底議論して、本当に強い農業を作る直接支払制度に向けた見直しの方向性を示すべきだ。

 一方、日曜日のテレビで、前原政調会長が年金一元化法案を2013年度に提出することを明言した。これも、本年6月の「社会保障と税の一体改革案」では、財源や各制度間調整が困難なことを踏まえて、時期も内容も曖昧にせざるを得なかったにもかかわらず、ここにきて突然再びマニフェスト通りに法案提出する、と言う。

 また、今日の新聞報道では、高所得者の所得増税を検討する、という。円高で加速する産業の空洞化への対処の重要性を指摘しながら法人税減税を止める一方、今度は所得税の面から空洞化促進をしようという。なぜ多くの企業がアジア各国に、とりわけ多くの経営者がシンガポールや香港に移りつつあるか、民主党政権は分かっていない。既に日本は、所得税の最高税率がOECD諸国の中で最も高い国のひとつだ。

 表層的なポピュリズムが先行した、実現可能性も不明確な政策を、思いつくままに口の端にのせていては、有為な人材と企業は、益々日本から出て行ってしまうのではないか。

 わが国を今後どのような国家にするかを改めてまず定め、それに則って一つ一つの課題に丁寧に、地に足を付けて取り組み、確かな答えを出していくことしか、わが国の復活はない。そのためにも、国民の心を揃えることを考えるべきだ。

 国会への原発事故調査委員会設置の努力も、今、委員長、委員の人選の大詰め。表層的な議論に流されることがないよう、各党の力を結集して、良い委員会を立ち上げたい。