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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/10/28(木) NO.621号 

日本だけ激減する留学生(10月28日)

 一昨日の晩、私が会長を務めるハーバード大学行政学大学院(ケネディースクール)の日本における同窓会の総会があった。それぞれ力を持ち、様々な職場で頑張る面々が集まる。

 会長としての挨拶の際、ハーバード大学・大学院への国別留学生数の推移について話す。余りに愕然とすることが起きているからだ。入手した資料は、過去18年間のデータだが、日本以外のすべてのG7国、韓国、そしてブラジル、ロシア、インド、中国など主要新興国も、ハーバードへの留学生を揃って大幅に増やし、キャンパス全体としての受け入れ留学生総数が2584人(91-92年)から4007人(08-09年)に増えている中、日本だけが179人から 107人へと激減させている。

 とりわけ増加著しいのは、中国(220→421人)、韓国(137→305人)、インド(98→225人)などで、他のアジア諸国もシンガポール(34→89人)、タイ(22→42人)、ベトナム(4→18人)など、軒並み増やしている。日本は韓国に10年ほど前に抜かれた。先進国でも英国(149→209人)、ドイツ(105→159人)、フランス(65→84人)など、皆増やしている。

 教育、研究分野で益々国境がなくなり、世界が一つになる大きな流れが加速する中、日本人だけがその流れに逆行している格好だ。日本が一人孤立感を強め、世界の中での存在感を失いつつある。米国のビジネススクールの入試に必須のGMATという共通試験の受験者数を見ても、アジアの中で日本だけが減っているという。

 なぜ日本人がここまで内向き、国内志向になり、世界に果敢に挑むことをしなくなってしまったのか。いつからこうまで「草食系」人間ばかりになり、「肉食系」人間が減ってしまったのだろうか。「海外勤務を最も嫌うのは商社社員と外交官」との笑えない冗談さえよく聞く。5月に私たちがとりまとめた自民党成長戦略「日本フェニックス戦略」でも、日本人のグローバル化ための「スーパーJET5万人計画」、「大学生の最低半年間留学の努力義務化」など、世界に羽ばたく果敢な人材育成策は、成長戦略の柱だった。

 人材こそ宝。「日本大改造」のためには、「日本人大改造」を実現しなければならない。今の政権からそのような覚悟は伝わってこない。