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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2010/09/19(日) NO.616号 

政治に大事なのは実質(9月19日)

 共同通信の世論調査結果を見ると、菅改造内閣の支持率は、54.7%から64.4%に急上昇し、6月の菅内閣発足時の支持率61.5%をも上回った。

 しかしよく考えると、内閣発足以来この3ヶ月間、菅内閣はほとんど国民生活の実質部分に関わる政策は実行していない。丁度内閣発足頃から顕著になった円高・株安に対しても、関心すらないのではないかという状態が長く続いた。にもかかわらず支持率が内閣発足当時を上回るほど急回復した理由の大半は「脱小沢路線」への評価。ある意味「小沢効果」の結果でしかない。すなわち、菅内閣もこのままでは鳩山内閣同様、違った意味での「小沢頼み」の政権なのだ。つまり、人事などで「反小沢」的態度を取り続けないと支持率は維持できない。

 この間、国民の暮らしや経済実体は悪化の一途で、それに対する菅内閣のこれまでの無為無策ぶりは明らか。菅内閣が、今後実質部分でどのような政策対応をし、補正予算、来年度本予算をきちんと成立させることができ、日本の真の改革を進められるかどうか。国民がそれらを見てはじめて、内閣の本当の評価が下されることになる。となれば、自民党は、国会の場で堂々と議論を展開し、多少マニフェストを変更する程度では日本の根本問題の解決には全くならないことを明らかにしていくべきであると考えている。そして、私が次期臨時国会から理事を務める予定の衆・予算委員会などで、本来取るべき政策をこちらから積極的、建設的に提言していくつもりだ。

 政治が生活の実質に関わらねばならない、という意味では、一週間ほど前の12日(日)に私が松山で主宰した第23回フォーラム21は、極めて意味のある、中身の濃いシンポジウムだったと思う。そのテーマは、「がんに克つ〜より良いがん対策へ〜」だったが、約300人という多数の参加者との対話になり、大いに考えさせられた。

 国民に2人に1人はがんにかかり、3人に1人はがんで亡くなる。私も先日、かけがえのない友を失ったばかりだ。日本医療政策機構の埴岡健一氏、四国がんセンター統括診療部長の谷水正人先生、(NPO)愛媛がんサポートおれんじの会松本陽子理事長、愛媛県議会がん対策推進議員連盟岡田志朗会長、の4人のパネリストには、それぞれの立場から思いを語って頂いた上で、国、県、医療関係者、患者等のさらなる役割、あるべき姿について2時間半にわたってじっくり議論した。

 がん基本法が議員立法として成立し、患者を中心に立法府、行政府、医療従事者、経済界、メディアの六者の声が反映される「六位一体モデル」の下で「みんなで作るがん政策」との提言も国に対してできるようになり、今年の3月には愛媛県議会でも全国7番目のがん条例が制定されるなど、徐々に改善されつつあるがん対策。しかし、埴岡さんに言わせれば、全体としてはまだ「山の3合目」程度だ。

 がん対策先進県・島根県におけるバナナなどの商品価格に上乗せして集めた「がん対策募金」6億円余りによる医療機器整備の成功例が紹介された。愛媛でも「みかん募金」など独自の基金設立運動を始め、例えば高額医療費への補填などに充てたらどうか、など「県民総ぐるみ」の取り組みへの具体的提案もされた。

 この科学技術の時代にいまだ克服できないがん。国民総ぐるみでの取り組みが一層必要だ。